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【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-
第006話 2日目・2月01日『教会と狂戦士』
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分だけは念話で話した。
どこで話を聞かれているかもわかったものではないから。
だが、新都の橋を渡りきり交差点を曲がって家への坂を歩いているとき、私は突如寒気に似た感じを覚えて足を止めた。
セイバーもどうやら感じたらしく私の前に立ち、周りを警戒しだした。
どんどん悪感が強くなってきていることを鑑み、魔術回路を起こして弓を即座に投影。
セイバーも完全武装を終えて剣を構えていた。
そして私達の周囲に防音と認知阻害の結界魔術が張られたことがわかった次の瞬間には…私達の目の前に紫のコートを羽織った銀色の髪に赤いルビー色の瞳をした少女と、その後ろに鉛色をした二メートル以上はあるであろう巨人がまるで斧のような巨大な剣を片手に持って静かに佇んでいた。

「こんばんは、お姉ちゃん」
「………」

私はその圧倒的な存在に言葉を失っていた。
少女はその様子がわかったのか裾を摘まんで会釈をしてきた。
この場に不釣合いな挨拶。
後ろの巨人がいなければ様になっていたけど今じゃ畏怖の対象でしかない。

「サーヴァント…! マスター、私の後ろに! あれは危険です!」
「ふふ…やっぱりセイバーのサーヴァントは感知能力がすごいね。すぐにどちらが優位かわかっちゃうんだから。
それじゃまずは自己紹介をしましょう。私はイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」
「「アインツベルン…!」」

私とセイバーは思わず同時に叫んだ。
それならお父さんが言っていた私の姉に当たる名前と同じ。
まさか聖杯戦争に参加してくるなんて…いや、それはすでに想定内のことだったから諦めもついていたが、そのサーヴァントだけは予想外だ。
でも、今は…まだ戦闘が行われる前に話をしなくてはいけないことがある。

「イリヤスフィール……それじゃ貴女が私のお姉さんに当たる人物なんですか」
「私のことを知っているの? うん、そういうことになるのかな?」
「それじゃ姉さん…私の名前は衛宮志郎。…できれば話を、聞いてくれませんか? 私は…それにセイバーも姉さんとは戦いたくないんです」
「はい。あなたはアイリスフィールとキリツグとの間に生まれた愛娘…ですから私もできれば手を上げたくありません」

姉さんは一瞬ムッとした顔になったがすぐに表情を笑顔にして、

「ふーん? なにかわけがありそうだね。
でも今は聞いてあげない。私はアインツベルンを裏切ったエミヤの名を持つものを許していないんだから。だから…やっちゃえ! バーサーカー!」
「■■■■■■■―――――――!!」

静かに佇んでいたサーヴァント・バーサーカーは姉さんの命令と同時にまるで地鳴りのような響きの咆哮を上げて、私達に襲い掛かってきた。
セイバーは咄嗟に私を担いでバーサーカーが振り下ろした斧剣を避けた。
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