第百十二話 若狭も手に入れその九
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「そうしてな」
「そのうえで、ですね」
「民達を守ろう」
「わかりました」
「そしてだ」
英雄はさらに言った。
「関所は置かない」
「それはですね」
「あれは国境ならともかくな」
他の勢力のというのだ。
「中にはな」
「置かないですね」
「そうだ、人の行き来は邪魔したくない」
だからだというのだ。
「気楽に行き来出来る様にな」
「それで、ですね」
「それは置かない」
兵達が詰めて賊や魔物の退治の拠点にするそうしたものはというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「関所は駄目だ、そして今の街の通りだ」
「座もですね」
「それも置かない」
即ち楽市楽座を行っていくというのだ。
「そちらもな」
「そうして商いを自由にして」
「より国を豊かにしていく」
「これからも」
「そうしていく、あと関所を設けるにしても」
国境にというのだ。
「銭を取ることはな」
「それは、ですね」
「しない」
断固とした言葉だった。
「それをするとな」
「人の往来が減るので」
「それはしない」
あくまで、と言うのだった。
「絶対にな、関所は設けてもな」
「お金は取らないということで」
「その方が儲かる」
この読みもあった、英雄には。
「人の往来が自由になってな」
「商業が栄えれば」
「その方が遥かにな」
「だから信長さんもじゃのう」
当季も言ってきた。
「関所を廃止したんじゃな」
「俺はその信長公に倣っている」
まさにとだ、英雄は当季に答えた。
「実際にな」
「やっぱりそうじゃな」
「そうだ、関所は当時金になった」
「大名の大事な財源じゃったのう」
戦国大名達のとだ、当季は述べた。
「それで大名じゃないが日野富子さんもじゃ」
「八代将軍の正室のな」
「関所を設けてのう」
「通行の銭を多く取ってな」
「そして儲けていたのう」
「それで財を為した」
日野富子は金に執心していた、それで関所を多く設けそこから銭を取ってそれで金を得ていたのである。
「しかしな」
「それよりもじゃな」
「俺はだ」
「信長さんに倣ってじゃな」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「俺はだ」
「国を豊かにするのう」
「あの女が見ていたのは金だ」
日野富子がというのだ。
「他のことはな」
「色々と評判の悪い人じゃしのう」
「応仁の乱でもだ」
戦国時代のはじまりとなったこの戦もだ。
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