五十一匹目
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「にゃーにゃー、この屋台引く意味あるのかにゃー?」
「さー?」
「アイテムボックスあるのにねー」
「でもこれないとポップコーンつくれにゃいよー?」
その日、王都のメインストリートに数台の屋台が解き放たれた。
屋台を引くのは背の低い子供だ。
一台の屋台を四人一組で運んでいる。
「うにゃ? あんまり人いにゃいにゃー」
「でもご主人様の指示だし」
「ほら、早くやるわよ」
「その通りだにゃ」
三人が屋台の準備をしていると、まばらだった足が増えてきた。
通勤時間だ。
「じゃぁご主人様の指示どおり作ろう」
「そーだにゃ」
四人のうち二人が屋台に備え付けられた装置に魔力を流す。
魔力コンロと鉄板と透明なシリンダーで出来た簡単な装置だ。
シリンダーの底部辺りに油とコーンを入れる票線があり、そこまで油とコーンを入れた。
「このあいだご主人様が悪ぶってたの可愛かったにゃー」
「『くはは。民は家畜なのだ。餌と水をくれてやるのだ』ってやつ?」
「おっかにゃいなー」
「でもあのクズ貴族よりマシだよ。シラヌイ様の家はちゃんと家畜番してるもん」
やがてポンポンとコーンが弾け始める。
何事かとよってくる人達。
「お嬢ちゃん方、何を売ってるんだい?」
「ポップコーンっていうお菓子だにゃ」
シリンダーが弾けたポップコーンでいっぱいになる。
火を止め、塩をふって袋につめる。
その過程で広がるポップコーンの香ばしい匂い。
「ポップコーン買いませんかー? 一袋で大銅貨一枚ですよー。たったの10フル(百円)ですよー」
「果実水もありますよー。こっちは15フルですよー」
そこで一人の男がポップコーンと果実水を買っていった。
それを皮切りにだんだんと売れ始める。
「増産するにゃ」
ザラザラとコーンを装置に入れると客が驚いた。
「バカな…これが家畜の餌だと…?」
「うにゃ、ご主人様が考えたらしーです」
「そのご主人様って誰だい?」
客が聞くと売り子が屋台の屋根の端とポップコーンの袋を見せた。
【狐の知恵の実】という店名と共に描かれている紋章。
「………………………………うそだろ?」
「うみゃ?」
「き、君はタマモ様の部下なのかい?」
「私達のご主人様ははシラヌイ様だにゃ」
「タマモ様はシラヌイ様のお婆ちゃんだにゃ」
「シラヌイ様はめちゃくちゃ強くて可愛いですよ」
「私達は第三班で、他の通りに一から五班までが居ますよ。
ほら、この地図の場所です」
暫くして、客足が少し落ち着いた。
「けっこう売れたにゃ」
「ご主人様が言
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ