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戦国異伝供書
第四十八話 去った後でその六

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「何でも尾張の織田殿はな」
「その二つをですか」
「偉く励んでおるという」
 信長のこのことも聞いているのだ。
「どちらもかなりのものという」
「うつけと言われる中でも」
「その二つは暇があれば励みな」
 もっと言えば学問にも励んでいる、このことは織田家においては知る者は皆知っていて彼に仕えているのだ。
「見事な腕というからな」
「我等もですな」
「励むべきじゃ、わしもじゃ」
 晴信自身もというのだ。
「これからはな」
「これまで以上にですな」
「この二つに励み」
 馬術と水練にというのだ。
「いざという時に動ける様にしておこう」
「その二つこそがです」
 幸村がここで熱く言ってきた。
「何と申しましても」
「武芸の柱じゃな」
「人は最後は一人です」
「己の身を護るのはな」
「逃げる時もあります」
 幸村はそれを決して恥とは思っていない、これは変幻自在の戦を得意とする真田家の者であるからだ。
「その時にです」
「馬によく乗れてな」
「よく泳げれば」
 それならというのだ。
「無事にです」
「逃げられるからじゃな」
「はい」
 だからこそというのだ。
「この二つこそです」
「武芸十八般で最も身に着けるものであるな」
「それからです」
 他の武芸はというのだ。
「それでよいかと」
「お主もこの二つにはよく励んでおるしな」
「はい、そしてです」
「槍と手裏剣、忍術じゃな」
「刀や弓も使えますが」
 幸村はこの二つも見事な腕前だ。
「ですが実は」
「槍や忍術の方がじゃな」
「得手で」
「そしてじゃな」
「何といってもです」
「馬とじゃな」
「水練です」
 この二つだというのだ。
「やはり」
「今言っておる通りじゃな」
「左様です、ただ十勇士の者達は」
 彼等はというと。
「水練はともかくとしまして」
「忍の者達であるからな」
「馬はです」
 これはというのだ。
「あまり、で」
「忍術にじゃな」
「励んでおりまする」 
 そうしているというのだ。
「あの者達は」
「それは当然じゃな」
「はい、どうしてもです」
 忍の者達であるからだというのだ。
「そうなっておりまする」
「左様じゃな」
「ですが」
 それでもと言うのだった。
「水練ですが」
「それはじゃな」
「常に拙者と共に励み」
 そうしていてというのだ。
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