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ドリトル先生と姫路城のお姫様
第八幕その四
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「黄金の茶室があったよ」
「あっ、豊臣秀吉さんの」
「あの人が造らせたね」
「折り畳み式で組立てられる茶室ね」
「あの茶室をなんだ」
「流石に全部金色は妖怪のお姫様でも無理かな」
「どうかしらね」
 皆先生に口々に言います。
「お姫様兵庫の妖怪さん達の棟梁だから」
「相当なお力持ってるけれど」
「それでもね」
「流石にああした茶室はすぐに出来ないかしら」
「けれどお茶自体はいいかも」
「それ自体はね」
 こちらも宴の中に入れていいのではというのです。
「催しと催しの間に休憩で入れるとか」
「そういうのもよくない?」
「悪いことないと思うよ」
「それもね」
「そうだね、じゃあ茶道の時間も入れて」
 こちらもというのでした。
「お話してみようか」
「来週の日曜ね」
「お姫様にそうしてみせましょう」
「ここはね」
「そうしましょう」
 皆で先生はお話してでした、そのうえで。
 宴に花火と茶道の時間も入れてお姫様に提案することにしました、そしてこのお話が終わってでした。
 その後で、です。先生は今度はこんなことを言いました。
「しかし太宰治は愛人がいたというけれど」
「ああ、愛人の人と心中してるし」
「もてたんだよね」
「そうよね」
「奥さんもいたし」
「お顔がよかったこともあって」
「それについてどうかということは」 
 先生としてはです。
「僕は実体験では出来ないね」
「そこでそう言うのね」
「自分はもてないからって」
「そうくるのね」
「実際のことだからね」
 それだけにというのです。
「だから客観的に見て」
「そうしてだね」
「書いていくだね」
「愛人の人とのことは」
「そうしていくんだね」
「そうなるよ、愛人の人どころか結婚さえも」
 まさにというのです。
「無縁だね」
「だからそうしたことは言わないの」
「人は外見じゃないでしょ」
「先生だってそうだし」
「そもそも太宰さんも芥川さんもそうか」
「それだけじゃないでしょ」
 その人達にしてもというのです。
「そもそも」
「そうでしょ」
「違うの?」
「それはね。二人共人間として無道ではなかったし」
 人の道は踏み外していなかったというのです。
「太宰は何度か心中をしてるけれどね」
「それで女の人一人死んでるね」
「そうした事件は起こしてるけれどね」
「それでもだよね」
「極悪人かっていうと」
「違うよね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「人柄もあってもてたんだよ」
「じゃあ先生もじゃない」
「自分は恋愛とは無縁だと決めつけないで」
「それでよ」
「やっていけばいいじゃない」
「それでね」
「そうだといいね、お姫様も言っておられたけれどね」 

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