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ある晴れた日に
532部分:空に星は輝いているがその十九

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空に星は輝いているがその十九

「未晴の為に。正道君の為に」
「出来るだけですけれど」
「それでも」
「御願いするわ」
 彼等にもこう告げる晴美だった。
「本当にね」
「わかりました」
「それじゃあ」
 彼等も頷いた。これで話は完全に決まった。
「けれど今日はね」
「はい」
「これで帰らせてもらいます」
 晴美の言葉にこう答えるのだった。
「あいつが頑張ってますから」
「これで」
「未晴。今は動けないけれど」
 晴美は応えてくれた彼等に対してまた述べた。
「きっと。動けるようになるから」
「絶対ですよね」
「また」
「ええ。きっとよ」
 このことを約束するのだった。
「きっとね。だからね」
「はい、その為に」
「私達も」
 何かをしようと。確かに決意した彼等だった。
 そうしてであった。今はその場を立つのだった。晴美もだった。
「音橋君には話しておく?どうするの?」
「それは」
「どうしようかしら」
 今の晴美の問いに皆で顔を見合わせる。しかし今は答えは出なかった。
「今言ったらあいつも困るわよね」
「そうだよな」
「だったら」
「止めておくわね」
 困惑して答えを出せない彼等に告げる晴美だった。
「今は」
「すいません」
「それで御願いします」
 皆今の晴美の言葉に頷くしかなかった。とても答えは出せなかった。
「先生にはお話させてもらいますんで」
「ですから」
「ええ。じゃあそういうことでね」
 これでこのことも話が決まった。こうして彼等は病院を後にした。外に出た時は夜だった。
 黒の、いや濃紫のその帳に様々な色の星達か煌いている。青い星もあれば赤い星もある。白い星もだ。彼等はその星達をまず見上げた。
「なあ」
「どうしたの?」
 皆坪本の言葉に応えた。
「俺の彼女な、星が好きなんだよ」
「そうだったのかよ」
「それで御前もかよ」
「あいつと一緒に見ているうちに好きになったよ」
 こう皆に述べるのだった。
「そのうちにな。見てると心が晴れるよな」
「確かにな」
「奇麗だしね」
 皆彼の今の言葉に頷いた。
 その皆に対して。坪本はさらに言った。
「けれどな。今はな」
「今はか」
「どうなの?」
「晴れるどころじゃねえな」
 顔は見上げられていたが声は俯いていた。
「全然な。見れば見る程度沈んでいくな」
「そうだな」
「私もよ」
 それはここにいる全員がだった。

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