第三話 交流会(後)
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えた。
「……! 氷絃、用事ができたから席を外す。羽矢に『いつもの場所』で待ってるって言っておいて」
「? おう、なんか用事があるなら冴空と一緒に羽矢も送るが……」
「いや、羽矢も関係あるからさっきの通りで頼むよ。気遣いありがと。じゃあね」
「おう」
真剣な顔つきで電話に出た隆太はそのまま早足でその場を後にした。氷絃は一人、ボーッとして二人の帰りを待つ。
およそ五分後、二人は戻ってきた。
「氷絃くん、お待たせしました」
「ごめんねー。凄い混んじゃってて……おろ? セットンは?」
「ああ、用事ができたらしくてな。お前に『いつもの場所』で待ってるって伝えろって言われた」
「ふーん、わかった。じゃ、セットンのところに行ってくるからヒートはバイバーイ。冴空っちはまた後でねー。
ヒート、ちゃんと冴空っちを送るんだよー?」
「……ああ、当然。じゃあな」
「羽矢、また後でです」
氷絃が伝言を伝えると、羽矢もそう別れの挨拶をして、少しだけ顔を強張らせて去っていった。
「それじゃ、帰るか。バスはまだ出てるから……」
「あ、あの氷絃くん」
「ん? どうした?」
端末を起動させてバスの時間を調べようとした氷絃に、冴空は少し恥ずかしそうに声を掛ける。
「その……歩くのは、駄目、ですか?」
「徒歩で帰るか? 別にいいけど、どうしてだ?」
「交流会で、氷絃くんとずっと一緒にいられなかったので、できれば長く、二人でいたい……です」
「よし、歩いて帰るか」
冴空は顔を紅に染めて理由を説明すると、氷絃はそれを即座に承諾した。
「いいんですか?」
「当たり前だろ。俺も冴空とできるだけ長く一緒にいたいからな」
「ありがとうございます!」
「よし、帰るか」
「はい!」
二人は雑談をしながら帰り道を歩いていると、不意に冴空が氷絃の手を握った。氷絃がどうしたのかと視線を向けると、冴空はニコニコしながら身体を少しだけ寄せる。
「えへへ……寒かったので握っちゃいました」
「なら、もう少しくっつくか?」
「ふえ!? えっと、そうすると暑くなりすぎちゃうので……このままで!」
「わかった」
そんな風にいつも通りの自然にイチャイチャしていると、ふと冴空が口を開いた。
「氷絃くん、交流会で何かあったんですか?」
「……どうした、いきなり」
「その、氷絃くんが何か考えている感じだったので……違いましたか?」
「いや、当たってるし、少し考え事をしていた」
「それって……私に関係のあることですか?」
「……ああ、そうだな」
的確に言い当てられた氷絃は冴空の質問に嘘で取り繕うこと無く、正直に肯定した。
「っとな……あー……その……」
「ふふっ、無理して言わなくて
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