第三話 交流会(後)
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すぎたな」と言い残し、その場から離れた。
「黄劉学園長、失礼な態度を何度も取ってしまい誠に申し訳ありませんでした」
「気にするな」
氷絃の謝罪の言葉を受け取り、黄劉は室内へと入っていった。
「……冴空としっかり話す、か……」
年長者に諭されることというのは予想外に効果があるな、と思いながら氷絃は残った時間を自分の『理想』を見つめ直すことに注ごうと
「氷絃くん!」
したところで、件の少女の可愛らしい声が氷絃の耳に届いた。
「冴空、どうかしたか?」
振り返り、氷絃が返事をすると、冴空がそこそこ速いスピードで彼に近寄り、腕を引っ張る。
「あ、おい、冴空?」
「もう交流会が終わっちゃいます! その前に一緒に美味しいデザートを食べましょう!」
「わかった、わかったから!」
そういえば冴空は美味しい食べ物に目がなかったな、と思いながら氷絃は小さく柔らかい手に引っ張られて室内へと戻った。そうして、冴空の要望通り二人でデザートを食べて彼らの交流会は幕を下ろした。
「……相変わらず冴空ちゃんはたくさん食べるね……」
「今日は少なめだったな。体調でも悪かったか? いや、そんな素振りは見なかったな……」
最後に積み上げられたデザートの容器の山を見て、隆太が引き気味に言うが、氷絃曰く、いつもより少ないらしい。
現在冴空と羽矢はお手洗いに行っており、残った男二人はこうして待ちながら駄弁っている。
「これで少なめ……そ、そういえば氷絃も結構食べてたよね。主に冴空ちゃんから勧められたの」
「冴空が俺に食べてほしいと思って持ってきたからな。そりゃ全部食べる」
「はぁ、ほんと冴空ちゃんのことが大切なんだね。そんなに大切なら契約をすればいいのに」
「あー、それなんだけどな。少し、考えることにした」
氷絃のその返答に、隆太は「え?」と声を漏らして彼の方を何があったとでも言いたそうな顔で凝視した。
「……黄劉学園長と話をしてな、反論できないくらいに論破されたんだよ。それで、考え直そうと思ってな。
お前にも迷惑かけた、悪かった」
その謝罪に隆太は目を丸くして口をポカンと開けたまま氷絃の顔を見る。
「おい、なんだよその反応は」
「い、いや。君の頑固さを知っている身としてはあの数十分で考え直すなんて言葉が出てくるのが信じられなくて……あと単純に氷絃が謝ったのが意外すぎて……」
「俺を何だと思ってんだよ。それに謝ることくらい……」
「したことあったっけ?」
「……冴空とか目上の人になら謝ったことが何回もあるな」
「うん……まあ知ってたよ」
そんな雑談を続けていると、隆太のポケットから電話の着信音が鳴った。彼は端末を取って画面を見ると、その表情をまた変
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