第62話 リベールの思い出
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なかったし、丁度時間もあるから教えてほしいな」
「まあ、別に隠す事でもないしいいぞ」
リィンは顎に手を当てながら話し始めた。
「俺が最初にいたのは翡翠の塔と呼ばれる場所だったんだ。偶然そこに子供たちが迷い込んでそれを追ってきたエステルさん達に発見されたのが最初の出会いだったな」
「翡翠の塔……ロレントの郊外にある塔だね。前に暇つぶしに探検しに行ったけど結構大きな塔だった、屋上からの景色はとても綺麗で面白かった」
「たまに姿が見えないと思ったらそんな事をしていたのか。アイナさんが気が付かなかったからいいものをバレたら俺も怒られていたんだぞ?」
「反省しまーす」
「全く……」
だってリィンはお仕事ばかりして暇だったんだもん。だから町の子供たちやお店の人たちと仲良くなってよく遊んでいたり外にこっそり冒険しに行ったりしていた。
「それでリィンは発見されてどうしたのだ?」
「ん?ああ、俺を発見してくれたエステルさんとヨシュアさんは偶然にもカシウスさんの子供だったんだ。俺は運よく彼に会う事が出来てフィーを見つけるまでリベールに滞在できるよう根回しをしてくれたんだ」
ラウラも話に興味があったのかリィンに続きを催促していた。でも偶然カシウスに合えたなんてリィンは相当運が良かったね。もしそうじゃなかったらもっと面倒なことになっていたと思うよ。
「てっきりフィーも一緒にいるのかと思っていたから、いないと言われたときは本当にビビったよ」
「ごめんね、その時わたしは孤児院の方にいたからリィンを心配させちゃった……」
「フィーは悪くないさ。悪いのは俺達をリベールに連れてきた何者なんだからな」
「……そいつについてわたし達は会ったはずなのに記憶に残っていないんだよね?」
「俺もフィーも何も覚えていなかったな」
そう、わたし達はリベールに来る前に誰かに会っていた。でもその記憶がそこだけ綺麗に消えてしまっていた。
「そなた達をリベールに連れてきた人物か……心当たりはないのか?」
「記憶がないからそれすらも分からないんだ。何か目的があってリベールに連れてきたのか、それとも邪魔だった俺達を何らかの方法でその場から飛ばして偶然リベールに来てしまったのか……考えれば考える程分からなくなるな」
そもそも人を何処かに飛ばすなんて技術は存在しない。そうなるとわたし達を移動させた力はアーティファクトみたいな得体のしれない物なのかもしれないね。
「どっちにしろそいつの行方は追うつもりだ。何を企んでいるかは知らないが舐められたままで終わる気はないからな」
「ん、団長にも話したしケジメは付けないとね」
リィンの力について調べるのも大事だけどわたし達をリベールに移動させ
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