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『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
ムスタール森林
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……」
「どうかなされましたか?」
「いやなに、どうせならいにしえの剣闘士のように、腕に覚えのある猛者を虎と戦わせてみるのはどうかと思いましてな」
「それは面白そうですな!」
暇をもて余した金持ちという連中はろくなことを考えないものである。有志が募って働きかけ、魔物相手の戦闘を手配し、喧伝した。
「褒美は金貨一〇〇枚に加えて好きなものをくれるってさ」
「学院の生徒はSクラス以外なら参加可能か……」
「出るやつなんているのかな?」
「んー、Aクラスのやつとか出そうじゃね?」
「まさか。そんな危険をおかすやつなんていないよ。腕に覚えのある魔物ハンターあたりが名乗りをあげるんじゃね?」
「けどこんなバケモノを倒しちまうなんて、Sクラスの、特にシン=ウォルフォードてのは本物の天才なんだな」
「いいよな〜、運と才能に恵まれたやつらは」
「おれも天才に生まれたかった」
「凡人はどこまでいっても凡人だよな」
生徒らもまた闘技場に連日足を運び、そのような会話が繰り返しなされた。
そこに、カートの姿もあった。
(これだ……!)
この魔物は人々の恐怖と力の対象。ただの人では絶対に勝てない存在。それを凡人である自分が倒すことで皆に力と勇気を、己を高められる可能性を示す。
Zクラスの自分。すなわち凡人でも努力や修練を怠らなければSクラスとおなじ域まで行けると皆に知らしめるのだ。
カートは災害級と魔物と戦う決意をした。
「衆人の眼前でただ人が魔物を倒すことでSクラスに向けられる畏怖と畏敬を払拭するというのか」
「はい、
師匠
(
マスター
)
。そのための稽古をつけてください」
「カートよ、おまえは貴族だ。やがては伯爵家を継ぐ身。貴人が武威武力を示す必要などないのではないか? 領民の大安のために尽力するだけで人々の敬愛はおまえに向けられる。いたずらに武量を誇示することなぞ匹夫の勇と言うものだ」
「大平の世の中ならばそれで良いでしょう。だが今は帝国の侵略に晒され魔人の跳梁する乱世、脆弱な為政者にどうして民が安心して身を任せることができるものか。人々に安寧をもたらすには貴族の肩書きだけでは足りない、世は英雄を欲している。賢者の孫シン=ウォルフォードのような。だがあのよう規格外の英雄になれるのはごく一部の選ばれた天才のみ。そのような流れを変えたいのです」
「なるほど、俺が先日言った流れを変える。その方法がそれか」
「はい。……貴方の蒔いた種でもあるのですよ、これは。俺を焚きつけたのは貴方だ。俺を強くしてくれないとこまる。強くするべきだ!」
「ふふん、言ってくれる。おまえは今でもSクラスの孺子どもに匹敵する魔力武力を身につけているが、そこまで言うのならさらなる強さを得られるよう稽古をつけてやる。だがその最中
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