純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 24
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騎士でさえ、二人の相槌には疑問を抱かなかったらしい。
もっとも……
「息抜きというか……まぁ、そうですね。大役を任された身でこう言い表すのは少々憚られますが、良い気分転換をさせていただきました。なぁ、ベルヘンス。お前にとっても今回の孤児院行きは良い保養になったんじゃないか? お前は子供が好きだもんな?」
「…………………………ええ、そうですね。殿下は此処数ヶ月、何故か御公務に身が入っておられなかった様子。ですが気を入れ換えられたとの事ですので、この件を機に襟を正されるでしょう。中央教会に咲く可憐な花々のおかげですね。殿下の部下として、お声掛けくださったお二方には感謝の念に堪えません」
「っ!? ちょ、ベルヘンス! そういう余計な事は言わなくて良い!」
「おや、殿下。私は殿下にお仕えする者として謝意を表したに過ぎませんが、何か問題でもございましたか?」
「ぅぐっ……お前は本当に毎度毎回……っ」
「あらあら。お二人共、空青くして淡き緑に蕾も綻ぶ、ですわね」
「プリシラ嬢まで揶揄わないでください!」
「殿下。御顔が真っ赤ですよ」
「こんの……っ! 自分は関係無いですって態度が腹立つな!」
「私は仕事で参じておりますので」
「俺も一応は仕事で来たんですけど!?」
「存じておりますとも。結果として花見になっただけですよね?」
「……花見?」
「ミートリッテは気にしなくて良い!」
「ミートリッテ嬢はお気になさらず」
「?? はあ……」
……貴族的な冷やかしに気付けるほど染まり切ってもいないようだが。
何の話をしているのか分からずきょとんと瞬くミートリッテを横目に
「それはそれとして」
プリシラが右手を軽く持ち上げる。
男性二人はサッと姿勢を正し、改めて女性二人と向き合った。
「ヴェルディッヒ殿下方はこの後、王城へご帰還されるのですよね?」
「ええ。国王陛下に事の次第をご報告申し上げねばなりませんから」
「でしたら此方を、殿下から両陛下へ献上願えませんか? 私も後日謁見を願い出るつもりではありますが、大司教様がお戻りになるまでは教会を離れられませんの」
「……これは?」
机の上を滑らせるようにそっと差し出された真っ白な封筒を見つめ、ヴェルディッヒが首を傾げる。
一見何の変哲も無いごく普通の封筒だが……封蝋が無い。
常であれば中身を保護する為に蝋を垂らし、差出人と手紙の真贋を示す家紋等を押して封をするものなのだが。
宛先が記されていないのは元々ヴェルディッヒに預けるつもりだったからだとしても、さすがに封印が施されていないのは不用心ではないかと、ベルヘンス卿も不思議そうに封筒とプリシラを見比べた。
「どうぞ、中身を検めてくだ
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