522部分:空に星は輝いているがその九
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空に星は輝いているがその九
「お酒のことはね」
「わかってるって」
「っていうか知らない人いないわよ」
こうまで言う凛だった。
「もうね」
「それは誤解よ」
しかし明日夢はあくまで白を切るのだった。
「スタープラチナは健全なお店よ」
「健全ねえ」
「それも怪しくなってきたんじゃないの?」
それもだというのである。
「メイドにナースって」
「アイドルの写真集じゃない」
「だよな」
男組もそれに頷くのだった。
「もう何ていうかな」
「それだよな」
「それで売り上げあがってるらしいけれど」
「だから。あれは只の営業努力よ」
自分ではあくまでこう主張する明日夢だった。
「だから気にしなくていいわよ」
「とりあえずはね」
何もかもわかっている先生は穏やかだった。そして寛容でもあった。
「急性アルコール中毒にだけは気をつけてね」
「はい、それじゃあ」
「わかりました」
みんなも先生のその忠告に頷く。そうしてそのうえで帰路につく。しかし牧村はというと。
「悪いな」
「悪いなって」
「あんた何処に行くのよ」
出口で別れようとする牧村に皆怪訝な顔になった。
「一体何処に行くんだよ」
「何かあったの?」
「何もない」
それは隠す彼だった。
「ただな。これでな」
「これでなって」
「駅には行かないのね」
「そうだ。今日はこれでな」
お別れだというのである。
「また明日な」
こう言って皆と別れて病院から見て右手に去って行った。皆その彼を見て怪訝な顔にならざるを得なかった。
そうしてであった。いぶかしみながら皆で言い合うのだった。
「ねえ、あれ」
「どう思う?」
「絶対におかしいと思わない?」
こう話したのは女組だった。
「明らかに何かあるわよね」
「それが何かはわからないけれど」
「しかもよ」
ここで春華が言うのだった。
「この病院だぜ。うちがあいつを見たのってよ」
「市立病院」
「ここね」
「そうだよ、ここだよ」
まさにこの病院だというのである。
「この病院なんだけれどな」
「っていうことは」
「この病院に何かあるの?」
「そうなるのかしら」
「けれどよ」
だがここで野本が彼女達に異議を呈してきた。
「だったら何で今帰るんだよ」
「今って?」
「ああやって姿を消したことが」
「あれは何でなんだ?」
そのことを問うのだった。
「何でだよ、あれは」
「裏手に回るんじゃないから」
その彼に対して竹山が述べた。
「僕達をやり過ごして。それでね」
「裏手から回ってか」
「それなのね」
「それだと思うよ。だからね」
竹山は皆にも応えて述べたのだった。
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