第二章
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「何事じゃ。ノックもせずに入って来るとは。」
「も…申し訳御座いません。ですが、只今緊急の連絡が入りまして、ダッカス公イェル・フォン・ダッカス様の館が妖魔の襲撃に遭い、ダッカス様始め…家人全てが亡くなられた様だと…。」
「…!!」
これを聞き、ルーファスは自らの迂闊さを呪った。
「そうだ…ダッカス公はゾンネンクラール旧皇家の血縁…。っくしょう…!」
ルーファスはその拳で壁を思い切り叩いた。
考えてみれば、何故アリシアが大陸全土に罠を仕掛けたか容易に想像がついた筈なのである。
ー 旧皇家の血筋を根絶やしにする。 ー
自分の出自、第二皇子の暴走から放たれた戦、実験で妖魔と成り果てた母…そのどれもがゾンネンクラール旧皇家が穢れた血筋だからだと考えたアリシアは、その血のせいで生まれ自分を憎み、嫌悪し、そして…その血の全てを呪ったに違いない。
故に、アリシアは一滴の血さえ残したくはないと考えた筈である。
そう考えれば、きっと彼女は全てを成し遂げて後…自らの生命をも消すであろう。
「一人よがりの正義…だが、責められんのぅ…。」
全ての経緯を聞いていたマティアスは、遣り切れない表情を見せた。
「だが…止めねば、もっと大きな被害が出る。ルーファス、儂が許可する故、今直ぐ大公の元へ飛んでくれ。あと二人…アルテナム公とレーレン公もゾンネンクラール旧皇家の血が入っておるのだ。」
「分かった。二人は…必ず助ける。」
そう言うや、ルーファスらは急ぎ館にある移転の間に入ると、直ぐ様詠唱を完結させ、その姿を消したのであった。
転移先のアムネス大公の所は、正に蜂の巣を突いた様な有り様であった。
「我が主、もしや…。」
「ああ…またどこか襲撃を受けてるんだ。」
ルーファスは三人を伴って移転の間からでると、右往左往する人の中から執事らしき人物を見つけて足を止めさせた。
「私はリュヴェシュタン王国シュテンダー侯爵が息子、アーダルベルト。大公に申し伝えたい事があり、ノイス公の元から参じた。お取次ぎ願いたい。」
ルーファスがそう言うや、その初老の男は少しばかり驚いた表情を見せ、次には柔和な表情となって返した。
「貴方が…ルーファス様ですか。大公様より時折伺っておりました。今直ぐお取次ぎ致します。」
彼は直ぐに四人を大公のいる執務室へと案内し、ルーファスが来た旨を伝えるや…大公は扉の外へと飛び出して来たのであった。
「よう来た!これもまた、天の采配か!」
そう言ってルーファスの手を握りしめた。
この老爺こそ、ゴッドフリート=フィリップ・フォン・アムネスである。
彼の家系には、バーネヴィッツ家からの婿養子がおり、その縁から長きに渡り交流があった。現当主とも良好な関係を保ち、時を見ては互いに度々館へと招くこと
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