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ある晴れた日に
516部分:空に星は輝いているがその三
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空に星は輝いているがその三

「松は水羊羹だけじゃなくてプリンとかまで入ってるしね」
「はい、それで御願いします」
 明日夢が応えるのだった。
「包装はそれで」
「お見舞い用にだね」
「はい、それで」
 二人でのやり取りが続いていく。
「ちゃんと上にも書いてですね」
「わかってるよ。それじゃあ」
 早速筆ペンを出してきて述べるのだった。
「これでいいかな」
「はい、それでお御願いします」
「それじゃあ」
 あっという間に包装まで終えてそれでそのうえに一筆書いた。それで終わりであった。
「お勘定は」
「あっ、はい」
「それじゃあ」
 皆でやっていく。これで終わりであった。
 それで帰るかというとそうではなかった。明日夢がここで店の壁にかけてあるサインを見たのだった。文字は詳しくはわからないが数字の二十だけはよくわかった。
 彼女はそれを見てにこりと笑った。そうしてそのうえで若者に告げるのだった。
「そちらのお爺ちゃん大切にしてくれてるんですね」
「ああ、このサインね」
 若者も彼女が何を言いたいのかわかっていた。首を捻って自分から見て真後ろにあるそのサインを見てあらためて応えた。
「杉下投手のサインね。そっちのお爺ちゃんがうちのお爺ちゃんに贈ってくれた」
「今はこっちに飾ってるんですか」
「僕としてはねえ」
 ここで苦笑いになる青年であった。
「個人的にはだよ」
「はい」
「あれだよ。やっぱりファイターズの選手のを飾りたいね」
 それだというのであった。
「ほら、ダルビッシュとかね」
「いいのかよ、咲」
「フィアンセこんなこと言ってるわよ」
 ここで四人が咲に少し意地悪な顔を作って周りから囁いてきた。
「ダルビッシュだってよ」
「ホークスの選手じゃなくて」
「別にいいじゃない」
 しかし当の咲は至って平気な顔であった。そうしてそのうえでこう言うのであった。
「巨人じゃないし」
「巨人じゃなければか」
「それでいいんだ、あんたって」
「日本ハムは嫌いじゃないのよ」
 どうやらそうであるらしい。同じリーグであってもだ。
「あくまで打倒巨人」
「それなのね」
「そうよ。慶彦さんもそれは同じだしね」
 ここでその若者の名前も言うのであった。彼がその咲の許婚というわけである。そしてこの御菓子屋こそが彼女の将来の嫁ぎ先というわけだ。
「アンチ巨人だから」
「ああ、巨人関連は絶対にお店の中には置かないんだ」
 ここで慶彦自身からこんなことを言ってきた。
「不吉で商売に悪影響が出るからね」
「まあそれはな」
「その通りね」
「巨人だけはね」
 この店もまた巨人関連お断りであった。実に巨人を嫌う人間が多い街である。
「けれど中日はいいからね」
「咲としてはや
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