【願いの先へ】
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の無い話だな。まぁ、俺も何故性格の異なるヒナタの元に来てしまったかは知らんが……いいだろう、相手になってやる。こちらとしても、元のヒナタの所へ還らねばならんからな」
二人は外の開けた場所へ出て、目元の血管を浮き上がらせ白眼を発動し柔拳の構えを───
「ねっ、ね…ネジ兄さん、どうしたんですか……?! しっかりして下さい…!!」
ネジと修行の約束をしていたヒナタは日向本家の修行場所で待っていたが、離れに住んでいる従兄がなかなか姿を現さない為に、心配になって様子を見に来た所、内側の玄関前でうつ伏せに長い髪を乱して倒れているのを発見し、ヒナタは血の気が引く思いでネジに呼び掛けた。
普段の任務服姿でぐったりとした身体を仰向けにさせて顔色を見ると、真っ先に目が向いたのは鉢金のされていない額だった。
……普段、額当てや包帯の下に隠れていた“それ”が無かった。
籠の中の鳥を意味する日向の呪印が消えている……という事は───
ヒナタは気が遠のき掛けたが、よく見ると胸部はゆっくりと上下しており呼吸をしているのが分かる。
苦しんでいるわけではなく、乱れた前髪から覗く端正な顔立ちはただ穏やかに瞳を閉ざし口元は微かに開いたまま眠っているように見える。
しかし何故呼び掛けても触れても起きてくれないのか分からず、ヒナタは不安でネジの胸部に片耳を当てその鼓動を確かめる。
……トクン、トクンと緩やかで規則正しい鼓動はヒナタを少し安心させはしたが、このままだと埒が明かないと思い病院へ連れて行こうと自分の身体を起こし掛ける。
「んー??──あれ、ヒナタ……様? 何で俺の上で寝てるんです……??」
「えっ……?」
そのぼんやりした口調にヒナタがふと顔を向けると、間近に寝ぼけ眼のネジのきょとんとした顔があって、見る見るうちに恥ずかしくなって頬を染めたヒナタは仰向けのネジに覆い被さるような姿勢から勢いよく起き上がる。
「わぁっ、ごご、ごめんなさいネジ兄さん……!?」
「ごめんな、さい……? 兄さんって……君、ヒナタ様じゃないのか……??」
ネジはまだ眠たそうに目をこすりながらおもむろに立ち上がる。
「え、あの、私……ヒナタ、です……けど」
「んん…? 確かに似てなくもない、けどな……何か雰囲気全然違う。ガサツで強気でケバい感じがしない……。清楚系でかわいくなった……?」
「ねね、ネジ兄さん近いです……っ」
怪訝そうに顔を近づけられ、恥ずかしさのあまりヒナタは目をぎゅっとつむる。
「……ヒナタ様、俺を罵って蹴飛ばしてくれません?」
「ふぇ?! そそんな事、絶対出来ません…!!」
いきなり何を言うのかと困惑し、頭を思い切り
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