【願いの先へ】
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に自分の頬を片手で強くつねってみたが、夢から目覚めるような気配はなかった。
「ほれほれどうしたよネジ兄……、いつもなら真っ先にアタシの胸に目が行くくせに」
大きな胸元を見せるような低い姿勢で上目遣いをしてくる別人のヒナタに対し、ネジは顰め面で顔を逸らす。
「んだよつまんねーなぁ、アタシの知ってるネジ兄はアタシの事がだぁい好きなのによ。アタシっつーか胸か? ま、どっちでもいーけど」
「お前の知っている俺ではないなら、警戒すべきだろう。……その不良じみた態度といい、宗家としての自覚が無いのか」
「んなもんどーだっていいって。次期当主だってアタシがなる必要はないけど、うちのネジ兄は柔拳の覚えが悪いしアタシの妹は病弱だし……、完璧な回天を使うアタシを上回る奴が一族の中で出て来ないんだからアタシがなるしかないじゃん。それまでは勝手にやらしてもらうし」
ネジからそっぽを向き、両の手を頭に後ろ手に組んで片足をプラプラさせる別人ヒナタ。
「ハナビが……病弱?」
「あぁ、生まれつきな。親父は心配性だから妹の方に付きっきりなんだ。……アンタんとこのハナビはどうなんだよ」
「……病弱ではないのは確かだ」
「ふーん、ならいいけどな。……つかさぁ、アンタの知ってるヒナタってのがアタシのよーな不良娘じゃないなら、どんなヤツなワケよ?」
別人のヒナタは振り向き、片方の口角を上げて意地悪そうにネジに聞いてくる。
「お前は……、完璧な回天が使えると言ったな」
「まぁな。……“お前は”っつーことは、アンタの方のヒナタは使えねーの?」
ネジは答えなかった。
「なんだ、使えねーのか。才能ねーなぁそっちのアタシは。そんなんじゃアタシの正反対でウジウジもじもじしてそーじゃん」
なかなか察しのいい別人ヒナタのようで、ネジは答える必要がなかった。
「んで、アンタは? ……うちのネジ兄は回天使えねーってか使わないから、アンタは使えるんじゃねーの?」
「あぁ、無論使える」
「へぇ、やっぱそーなのか。……うちのネジ兄、才能無いわけじゃねーのに出し惜しみしてんだよな。けしかけても使おうとしないし……。ネジ兄がアタシの胸に気を取られず真面目にしてたら、ネジ兄の方が次期当主に相応しいのによ。ったく変な気使うなっての」
ヒナタは遠くを見るような表情でそう述べた。
「あーぁ、うちのネジ兄はどこ行きやがったんだか。代わりに理想的なネジ兄が目の前に居るってのに……。そーだアンタ、アタシと手合わせしてくれよ本気で」
「本気で……か?」
「あぁ、うちのネジ兄じゃ相手になんねんだよ。……けどアンタと本気で手合わせしてたら、そのうち戻ってくんじゃねーかなって」
「根拠
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