【願いの先へ】
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──?騒々しい足音と、ふすまを勢いよく開け放ったような音がする。
もう、起きる必要はないはずなのに、誰かに掛け布団を強引に引き剥がされた気がした。
「おいこらネジ兄、いつまで寝てんだよさっさと起きろ!!」
その荒々しい大きな声に、ネジは驚いて目を覚ます。……声のした方に顔を向けると、両手を腰に当て仁王立ちして怒った様子でこちらを見下ろす髪の長い女……が居たのだが、その出で立ちは露出が多く唇には紅を塗っているようで妙に際立っている。
「ほら修行始めんぞ、とっとと支度しろ!」
「………?? 誰なんだ、お前は」
「はぁ? よくそんな口が聞けたもんだな、寝ぼけてんだろネジ兄。── 一発お見舞いしてやるよ!」
素早い掌底が顔面に向けられたものの、ネジが瞬時に避けて立ち上がったのを見て、女の方は不敵な笑みを浮かべる。
「へぇ…? ネジ兄にしてはいい動きしてんな」
「……お前は何者だと聴いている」
油断なく相手を見据えるネジ。
「はん、いいぜ、わざわざ名乗ってやる。……日向宗家次期当主のヒナタ様だ」
「お前が、次期当主の……ヒナタ様、だと…?」
自信満々に答える女に、ネジは呆気にとられる。
「そーだよ、思い出したか寝ぼけヤロー!」
「──お前のような不良娘がヒナタのわけがないだろう」
きっぱりと言い切るネジに、自分はヒナタ様だと名乗る女はキレ気味に反論する。
「あぁン? 言ってくれんじゃねーかネジ兄!? そっちこそネジ兄にしては随分上から目線じゃねーか、いつもなら真っ先にアタシに擦り寄るクセによ!」
「それは俺ではないだろう、どこのどいつの事を言ってるんだ」
「だ・か・ら、アンタだよ目の前のネジ兄……てか何だそのデコ、卍みてーなの……昨日までそんなもん付けてなかったろ」
ネジの知っているヒナタではないヒナタが、先程までの荒ぶった態度はどこへやら、神妙な顔つきで一心に見つめてくる。
「……お前は自ら日向宗家と名乗っていながら、呪印を知らないのか。呪印制度によって分家の額に刻まれるこの印を」
「呪印制度なんてもんは無いぞ、宗家分家には分かれてるけどな」
ネジはその言葉に一層違和感を覚えた。
「呪印制度が無い、だと? 俺の、父は──」
「ネジ兄の親父さんは、任務中に亡くなっちまったんだろ。ネジ兄が小さい頃に」
「違う、俺の父は任務中に亡くなったのでは……」
言い掛けて、ネジはやめた。相手は自分の知っているヒナタでもなければ、呪印制度の存在しない日向家、という事になっているらしいからだ。
「??──」
「おい何やってんだよネジ兄、寝ぼけんのもいい加減にしろよ」
ネジは試し
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