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戦国異伝供書
第四十七話 義に従いその三

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「越後の、ひいては天下の為にです」
「働いてもらいたい」
「その様にです」
 まさにというのだ。
「考えています」
「それでは」
 直江は景虎に応えた、そしてだった。
 景虎は信濃と関東の状況を見つつそのうえで越後の政を執っていた、その中でだった。
 その中でだ、景虎がいる春日山城に信濃から使者が来た。その使者がこう言ってきたのだ。
「是非殿にです」
「会いたいとですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「言われていますが」
「それではです」 
 それならとだ、景虎は話をした者に答えた。
「お会いしましょう」
「それでは」
 こうしてだった、景虎はその使者と会った。使者は満身創痍と言っていい状況でその有様で景虎に言うのだった。
「それがし村上家の者ですが」
「この度は何のご用件でしょうか」
「はい、殿と小笠原殿は武田家と戦っていますが」
 それでもというのだ。
「武運拙くです」
「その為ですか」
「長尾様を頼りたいと言われています」
「是非もないことです」
 これが景虎の返事だった。
「それではです」
「殿とですか」
「はい」
 こう答えたのだった。
「是非です」
「この越後にですか」
「お待ちしているとです」
 その様にというのだ。
「村上殿と小笠原殿にお伝え下さい」
「この越後にですね」
「是非来られて下さいと」
 その様にというのだ。
「お伝え下さい」
「それでは」
 景虎は使者に答えた、こうして村上と小笠原そして彼の主な家臣達と軍勢の率いられるだけの面々が信濃の北から越後まで落ちてきた。
 彼等はすぐに春日山城に入りそこで景虎に入り信濃の状況を彼等なりに説明した。景虎はその話を最後まで聞いて言った。
「わたくしもそのお話を聞いていました」
「信濃のことは」
「そうでしたか」
「その時より思っていました」
 こう村上と小笠原に言うのだった。
「それは捨て置けぬと」
「武田家が信濃を手に入れんとすることは」
「そのことは」
「武田家は幕府より甲斐の守護を任じられています」
 このことから言うのだった。
「それで尚信濃を手に入れようなぞ」
「我等も戦いましたが」
 信濃の守護であった小笠原が項垂れて述べた。
「ですが武運拙く」
「それがしもです」
 村上も言ってきた。
「無念ながら」
「左様ですね」
「それでなのですが」
「わたくしの考えは決まっています」
 既にとだ、景虎は二人に答えた。
「それは」
「そうなのですか」
「必ずやです」
 景虎は二人が言う前に自分から言った。
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