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ある晴れた日に
513部分:冷たい墓石その二十一
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察したのである。その勘によって。
 それで考えだしたがここで。先生は言うのだった。
「まずは席に着いて」
「席って?」
「あっ、そうか」
 皆言われてこのことに気付いたのだった。皆着席していない。しているのは正道の他にはクラスの数名だけだった。皆座っていなかったのである。
「ホームルームだから」
「座らないとね」
「そうよ。まずは座って」
 先生はまたそのことを言った。
「とりあえず田淵先生は意識もはっきりしてるし」
「何だ、大事じゃないの」
「そうみたいね」
 意識ははっきりとしているということは皆を安心させた。そこからその怪我が大したものではないことが察せられたからである。
「それじゃあ先生のことは気になるけれど」
「今は、ですよね」
「そうよ。皆とりあえず落ち着いてね」
 そう言う先生が一番慌てていたのは確かであった。実際に先生はパートナーの思わぬ怪我にかなり取り乱してもいたのである。ここに来るまでに。
「それでいいわね」
「はい、それじゃあ」
「ホームルームですよね」
「そうよ。はじめるわよ」
 いつもの日常に戻った言葉であった。
「それじゃあ出席を」
「はい」
「御願いします」
 皆も日常に戻った。しかし明日夢は引っ掛かるものを感じたままであった。そして正道は表情を変えていなかった。田淵先生のことは聞いていたがそれよりも彼女のことを思っていた。この二つが接点になってしまうとはこの時は誰も知らないことであった。


冷たい墓石   完


                2009・10・12

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