三章 天への挑戦 - 嵐の都ダラム -
第34話 一方、その頃
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配なんて全然していませんよ? 彼があなたがたにつくはずはありませんし、あなたがたのお仲間さんに敗れるわけもありませんからね」
アランは笑う。
「ただ、シドウくんのところに行かれるのはわかるのですが、私のところにも来るというのはちょっと理解できないのですよね。私を消して何か意味があるのでしょうか?」
「念には念を、だ。お前は少々頭が切れるように感じた。もしもハーフドラゴンが我々の味方にならぬ場合、リーダーであるお前を生かしておくのは危険だ。単独行動をしているのは好機と判断した」
「へえ。そんなふうに思うものなのですか」
意外そうな反応をするアラン。
男のほうは、右手の指を鳴らした。
向かい合う二人をさらに前後で挟むように立っていたアンデッドたちが、剣と盾を構える。カチャリという金属音が一斉に発せられた。
そしてアンデッドたちはそのまま、アランに対しての間合いは詰めながらも、個々の間隔は広げるように位置取りしていく。
アランは包囲された状態となった。
「おお。動きが揃っていてお見事です。あなたの操作技術によるものなのか、それともアンデッドの生成技術が向上して自律的に揃っているのか。どちらによるものなのかは少し興味があります」
「そんなことよりも、自分の命に興味を持ったほうがいいんじゃないか?」
男は冷ややかにそう言った。
そして黒いローブの中から、宝玉のついた短い杖を出し、構えた。
「もう始めてしまうんですか? もう少しお話したいところでしたが」
「お前と無駄話するために来たわけではないからな」
アランは「仕方ないですね」と、一回肩をすぼめる。
「では戦うことにしますが……。まあとりあえず、あなたに二つほど勘違いがあったということはあらかじめ申し上げておきます」
「勘違いだと?」
「はい。一つは……。先ほど私のことを『生かしておくのは危険』とおっしゃいましたが、それは大きな間違いということです。私はリーダーではなかったですし、もうシドウくんらとも偶然以外で会うことはないでしょう。彼らと一緒にいたのは個人的な理由があっただけのことです。
あなたがたの組織……人型モンスターの残党ですかね? 何をやろうとしているのかはだいたい想像できますし、それがこの世界にとって災いをもたらすであろうこともなんとなくわかります。ですが、私は特にそれを積極的に阻止しようとは思っていません。
つまり、あたながたにとって、今の私は非常に安全な存在でした」
「……」
「もう一つは、そうですね……。マーシアの町長の家では私自身は戦っていませんでしたので、あなたはご存じないと思いますが――」
アランは男を見据えたまま、左手で右の袖をわずかにたくし上げた。
「――私、け
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