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ある晴れた日に
505部分:冷たい墓石その十三
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冷たい墓石その十三

「雇って暫く経たないとわからないものなのよ」
「わからないのね」
「そりゃ一目見てこりゃまずいって相手もいるけれど」
 人は見かけによらないというが見ただけで駄目だとわかるような人間もいる。これはその目をみたり面接等の時の素行からわかることである。
「そういう相手は論外でね」
「それでまずは雇ってなの」
「それからなの」
「あんた達は。そうね」
 今度は五人を見てそのうえで言うのだった。
「まあ。みっちり仕込まないと駄目かしら」
「みっちりって」
「どういうことなのよ」
「だってさ。適当で能天気なところあるから」
 明日夢が指摘するのはこのことだった。
「特に静華ね」
「私なの」
「あんたが一番それだから」
 適当で能天気だというのである。
「そりゃさ、セクハラ働くお客にはよ」
「容赦なく急所攻撃よね」
 実際にここで前蹴りを放ってみせた静華だった。その蹴りは確かな鋭さがあった。それを受ければ男なら間違いなく悶絶するものだった。
「こうやって」
「誤解して関係ない人攻撃しないでね」
 明日夢はそこを釘刺すのだった。
「立派な傷害罪になるから」
「大丈夫よ、間違えなかったらいいから」
 言われた側から能天気な顔で応える静華だった。
「今日早速セクハラ親父に天誅与えてあげるからね」
「誤解しないで頼むわよ」
「わかってるわよ。安心してよ」
 何を言われても能天気なままの静華だった。そんな話をしているうちにスタープラチナに着きメイド服に着替える。そのうえで五人は店に出るのだった。
「お帰りなさいませ御主人様」
「何に致しますか?」
 まずは五人並んでお客に頭を下げての挨拶だった。
「お部屋は何処にしますか?」
「お時間は」
 こうしたやり取りをするのだった。五人と同じくメイド服の明日夢もお客にメイドとして応対しながら五人の接客を冷静に見ていた。
 メイド服は黒を基調としてエプロンと頭の飾りがある。エプロンと飾りは純白でそのフリルのある黒いメイド服をよく際立たせていた。
 そのメイド服を着ながら。明日夢は五人に対して言うのだった。
「いいじゃない」
「いい?」
「メイド服が?それとも接客が?」
「どっちもよ」
 にこりと笑ってこう五人に話す明日夢だった。
「合格よ。いい感じよ」
「そう、合格なの」
「だったらいいけれど」
「そうね。メイドっていいわね」
 明日夢は腕を組んで会心の顔になっていた。
「お客の入りもいいし」
「そうよね。まだ夕方なのに」
「今日はかなり」
 お客は次々と来ている。ひっきりなしに応対が続いている。
「繁盛しそうよね」
「かなりね」
「メイド服は成功ね」
 明日夢は商売人としての顔になっていた。
「じ
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