第1話『終わり始まり』
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「さっき何か言いかけてましたよね?」
「……俺にこのカメラは使えない。 向いてないんだよ、俺の“世界”は」
一度鞄にしまったアルバムを再び取り出し、別の写真を立奈に見せる。
写し出されているのは見慣れた聖晶学園の校舎と見慣れない黒いもや。
これが玲人の歪む世界の写真だ。
「こんなもん写真にしたって意味ないだろ?」
「そ、そんなことありません!」
自嘲気味に笑う玲人だが、立奈は即座に否定する。
「影だって写真を構成する大事な要素の1つです。 先輩の歪む世界だって絶対に素敵な写真になります!」
「……根拠は」
「勘です」
「保証は」
「ありません」
「自信は」
「あります」
当の俺には無いんだがなと思わず笑う。
「そこまで言うならこいつも持って行こう」
「本当ですか!?」
「あぁ。 まともな写真が撮れるとは限らないけどな」
「大丈夫ですって」
そう言って立奈も笑顔を浮かべる。 不思議と大丈夫なような気がしてきた。
「さて、そろそろ部室閉めるぞ」
「はい!」
鍵は返しておくからと立奈を先に帰らせ、部室で再び写真を見る。
「影、か。 アイツには普通の影に見えてるんだろうな……」
誰に言うわけでもなく呟く。
その呟きを聞くのはただ一人。
面白いことになりそうだ
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