第1話『終わり始まり』
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もいいんじゃないだろうか。
「合宿の話ー。 全員集まるの今日が最後だし」
「あぁ、そういえばもう来週か」
それは数週間前に輝橋によって提案されたものだった。
なんでも知り合いが貸ログハウスの経営を始めたらしく、オープン記念に遊びに来ないかと招待されたらしい。
友達も誘っていいと言われた輝橋は、夏休み明けの作品展示会用の写真を撮る為という名目で合宿を提案してきたのだ。
「楽しみだよねー」
一人写真部じゃないのも混ざっているが。
立石の“パートナー”である天野は割と例外的に写真部の活動に参加している。 今回の合宿もそうだ。
「そうそう、立奈ちゃんも参加できるで確定でいいんだよね」
「あ、はい。 大丈夫です」
「唯ちゃんと一緒か〜〜〜」
もはや抵抗する素振りすら見せない。 肉食獣に捕獲された草食動物がする表情、と言われても納得できる。
流石に見かねたのか、立石が間に割って入る。
「そういえば、立奈さんは如月先輩とも初対面になるんじゃないですか?」
「そ……うですね。 メッセージのやり取りはありますけど直接は初めてです」
「マイエンジェル外に出たがらないから……」
如月先輩、或いはマイエンジェルと呼ばれるのは輝橋の“パートナー”だ。
昨年度に卒業した聖晶学園のOGで、天野と同様パートナーが所属している写真部には稀に顔を出していたため2年生組とは面識があった。
「特別必要な物は特に無いよな? 燕さんは何か言ってたか?」
「しくだい持ってこいって言われた。 悲しい」
「いや自業自得でしょ」
「まぁ一通り必要なものは俺と向こうで用意するし……着替えとかその辺?」
「普通に二泊する分ね、オッケー」
「撮影道具も忘れるなよ」
「わかってますよ」
集合場所と時間、食事、目的地の確認など、雑談を交えながら予定を詰めていく。
気がつくと、4限終了のチャイムが鳴る時間になっていた。
「げっ、もうこんな時間か。 そろそろマイエンジェル起こさないと……」
「んじゃそろそろお開き?」
「そうするか」
言い終わるのが早かったのか立ち上がるのが早かったのか、輝橋はさっさと荷物を持って部室を出てしまう。
「じゃ、次会うのは当日ってことで!」
「ん、おつかれ」
「飛鳥、僕らもそろそろ帰ろうか」
「はーい。 唯ちゃん、また連絡するねー」
「お、お疲れ様でした……」
あっという間に人が減り、残っているのは玲人と立奈の二人になった。
自分も帰るかと思い荷物をまとめていると、徐に立奈が口を開く。
「あのカメラは持って行くんですか?」
「あのカメラって……リアクトカメラのことか」
「そうです」
真剣な立奈の眼差しに思わず姿勢を正してしまう。
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