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ユア・ブラッド・マイン 〜空と結晶と緋色の鎖〜
第1話『終わり始まり』
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んが実際に撮った写真らしい。 こんなところにあったのか」

写真を拾い上げ、部室備品ではなく私物のアルバムにしまう。

「こんな写真どうやって……」
「多分、このカメラを使ったんだろう」

そう言って玲人が取り出したのは1つの二眼レフカメラ。
ぱっと見た感じではただのカメラだが、魔女たる立奈は直感的に理解した。
これは“魔鉄器”だ。

「《リアクトカメラ》。 撮影者の歪む世界を写真に投影することができるカメラだ」
「歪む世界を?」

歪む世界……玲人を含め、この学園の生徒の約半数には見えているのだろう。
過剰想起、或いはオーバード・イメージ・コンスティテューションを略してOIと呼ばれる特異体質者に現れる十人十色の症状。
自分だけの世界が見える、とでも言えば聞こえはいいのだろうか。
例えば自分が、或いは他者が、透明に見えたり異形に見えたり。 とにかく、文字通り世界が“歪んで”見えるのだ。

「凄いじゃないですか。 先輩にも使えるんですか?」
「いや……それは……」

答えに詰まっていると、廊下からバタバタと騒がしい足音が聞こえてくる。

「おっ邪魔しまーっす!」
「すいません、遅くなりました」
「立石……と天野。 何で天野?」
「え? 輝橋に呼ばれたんだけど……」

元気な声とともに入ってきたのは1組の男女。
眼鏡をかけた大人しそうな少年、立石勇気は遅れていた写真部員の一人だ。
対して、キョトンと首をかしげる快活そうなポニーテールの少女は部員ではない。
彼女は立石の兼部先でもある陸上部に所属していたはずだ。

「あっ、こっちの子は初めましてだよねー」
「ひうっ!?」
「私、天野飛鳥。 貴女は?」
「た、立奈唯です」
「よろしく唯ちゃん〜。 飛鳥でいいよ〜」
「ちょっ、飛鳥さっ、離して……」

出会い頭にもみくちゃにされ、目を白黒させる。
立奈には災難だろうが、玲人たちにとっては日常的な光景なので別に気にかけることはない。

「陸上部はいいのか?」
「今日は軽いミーティングだけで終わったので。 ところで輝橋君は?」
「さぁ? 今ごろ職員室で絞られてるんじゃないか?」
「余りにも非情が過ぎる……」

新しい声。 目を向けてみれば部室の入り口にやや疲労した表情の輝橋が立っていた。

「お疲れさん」
「ギバちゃん先生ってば俺だけ宿題の提出始業式じゃなくて登校日に早めてくるんだぜ? 酷くない?」
「廊下で騒ぐな。 迷惑になる」
「辛辣ぅ……」

トボトボとした足取りで部室に入った輝橋は、そのまま突っ伏すように腰を下ろす。

「それで、話って何?」

というのは未だに立奈をわしゃわしゃしている天野の言葉。 そろそろ解放してやって
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