暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン12 鉄砲水の異邦人
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動が単純に読みやすすぎるんだよ。さ、早いとこ奴を呼びな」

 余裕たっぷりの笑みを浮かべる糸巻に対し、清明もまたどこか楽しそうにその拳を握りしめる。それは、彼が純粋にデュエルを楽しんでいる何よりの証拠でもあった。

「その喧嘩買った、やああぁってやろうじゃないの!サラキアビスの効果、デッキから海亀壊獣ガメシエルを墓地に送り、そのままガメシエルを蘇生対象に!来い、ガメシエル!」

 血の海が割れ、その海中から巨大な2足歩行する大亀のようなモンスターが翼もないのに暗雲漂う空へと舞い上がる。しかしその全身はすでに得体のしれない傷だらけであり、両の目は本来の知性をかなぐり捨てた狂暴な真紅の光を放っていた。

 海亀壊獣ガメシエル 守3000 水族→アンデット族

「壊獣カウンター5つでのガメシエル……糸巻さん、どうする気だ?」
「あの、鳥居さん。あのカード、そんなに強いんですか?」

 あのカード、というのは無論、清明の出したガメシエルのことだ。今時守備力3000というだけでは壁としての信頼感は薄く、八卦の壊獣に対する知識はリリースという方法を使った除去要因という間違ってはいないが中途半端なところで止まっている。【壊獣】ならではのファイトスタイルは、少女にとってはいまだ未知の世界であった。それを察した鳥居が、できる限り細かく噛み砕いて説明する。

「ああ、正直かなりキツイ。奴には場の壊獣カウンターを2個コストとして、あらゆる効果に対しそれを無効にしたうえで除外する万能カウンター能力がある。それを単純計算で2回は打てるうえに、ウォーターフロントはカードが墓地に送られるたびにそのカウンターを片っ端から補充するんだ」
「無効にして、除外……で、でも!お姉様はこうなることをわかっていて、その上であえて攻撃したんですよね?」
「まず間違いないだろうね。糸巻さん、ほんと何企んでるんだ?」

 ゴーストタウンと化したKYOUTOUの街に仁王立ちするガメシエルと、それを下から見上げる糸巻。動いたのは、糸巻の方だった。

「トラップ発動、ワンダー・エクシーズ!このカードの効果により、アタシはこの場でエクシーズ召喚を行うことができる。さあ、どうするよ?」
「ワンダー・エクシーズ……ガメシエルの効果は……」

 そこで清明が、わずかに言いよどむ。このカードの発動を通せば糸巻はこのバトルフェイズ中でのエクシーズ召喚が可能となるが、ランク2の中にガメシエルの守備力を単純な打点だけで突破できるモンスターはいないはずだと彼は推測する。となるとあれはただのブラフで、少しでもこちらの壊獣カウンターを削るための罠。それにこのカードを止めたところで、ランク2を呼ぶだけならばそもそもメイン2まで待てば何も消費することなく可能となる。
 となれば、ここで止め
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