ターン12 鉄砲水の異邦人
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攻2400 昆虫族→アンデット族
KYOUTOUウォーターフロント(4)→(5)
「お姉様のモンスターを勝手に使って、自分も最上級モンスターを特殊召喚するなんて……!こんなの、止めようがないじゃないですか!」
「それが壊獣だからな。相手が何をしようがお構いなしに、自分のやりたい盤面を強引に作り出す……ある意味じゃ俺の魔界劇団と一緒でエンタメ性の塊なんだがな、相当うまくやらないと腹立つだけなのよなあれ」
「なんか好き放題言われてるけど、いいのか放っといて?」
どこか面白そうに相変わらずわーきゃー騒いでいる外野を顎で指し示す糸巻。それに対して1度展開の手を止めた清明が、諦めたように小さく息を吐いた。
「そりゃねえ。グレイドルも大概だけど、ビジュアルも効果もどー見ても正義の味方のやることじゃないでしょこの子たち。典型的な悪役よ」
「お、おう」
「でも、この子たちは僕のことを助けに来てくれた。それはもう何年も昔の話だけど、それからもこんな僕とずっと一緒にいてくれてるんだ。この子たちが悪だってんなら、そんな正義はこっちから願い下げ。どうぞいくらでも喜んで悪魔の化身にでも地獄の使者にでもなってやるともさ」
そう穏やかながらも硬い意志を秘めた目で言い切って、愛おしそうに自身のフィールドにいたクモグスの長い足を丁寧に撫でる清明。気持ちよさそうに壊獣なりの甘え声のような鳴き声を漏らすクモグスに小さく微笑むその姿は、先ほどまでの子供っぽい様子とは打って変わって急激に大人びているように見えた。先ほどまでとのあまりの違いに思わず目をしばたかせる糸巻の前で、またしても大人びた態度は影をひそめ見た目通りの少年のように明るく笑う。
「さ、デュエルを続けようか。今のままだと、クモグスだけじゃさすがに力不足だからね。ツーヘッド・シャークを召喚し、さらに自分フィールドに水属性モンスターがいることで2体目のサイレント・アングラーを特殊召喚するよ」
ツーヘッド・シャーク 攻1200 魚族→アンデット族
サイレント・アングラー 守1400 魚族→アンデット族
「またリンク召喚……ってわけじゃなさそうだな」
「ご明察。やっぱり目には目を、エクシーズにはエクシーズで返さないとね。僕は2体の水属性レベル4モンスター、ツーヘッドとアングラーでオーバーレイ!三千世界を張り巡れ、海原に紡がれし一筋の希望!エクシーズ召喚、No.37!希望識竜スパイダー・シャーク!」
そして清明が手札をすべて使い切ってまで呼び出したのは、地を這う蜘蛛と海を行く鮫の意匠が共に混ざり合った純白の海竜。アンデットワールドの瘴気に飲まれたその姿はすぐさま死体となり果てたが、その誇り高き威容は死してなお少しも損なわれてはいない。
☆4+☆4=★
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