ターン12 鉄砲水の異邦人
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。これを最初に話したのは、あくまでも僕自身のため。お望みなら、もっとそれっぽい作り話を持ってきてもよかったんだよ?ただこの精霊騒ぎ、多分お二人さんとは何度かかち合うことになりそうだからね。変に嘘を積み重ねてどこかでボロが出たりしたら、それこそ目も当てられないぐらいややこしいことになりそうだからさ……って、うちのブレインが言ってた」
「ブレイン?」
「そ、僕の神様……あー引かないで引かないで、今のは僕の言い方が悪かったから」
一気に3割増しで険しくなった視線に失言を悟り、ぱたぱたと手を振って発言を打ち消す清明。だがそんなフォローも時すでに遅く、八卦のみがはらはらと見守る冷たい空気の中でうむむと小さく唸った。
「別にここでダークシグナーになってもいいんだけど、それやっても精霊の証明にはならないもんねえ。何か手っ取り早い方法……となると、やっぱこれしかないか」
さも仕方なさそうな口調とは裏腹に、妙にウキウキした表情と態度を隠そうともせず左腕の腕輪に手をかける。次の瞬間にはそのデュエルディスクが、カード置き場となる水の膜と共に勢いよく展開された。昨日に引き続きまたも目の当たりにしたその機構に、糸巻の目がすっと細まる。
「……まさに、それなんだよな」
「え?」
「はっきり言って、アンタの話は一から十までどうにもこうにも胡散臭い。だが、そのデュエルディスクの機構はやっぱりアタシでも見たことない。なあ爺さん、そっちはどうだい?」
「ああ、その通りだね。私もこの業界に首突っ込んでから随分になるが、そんなモデルのデュエルディスクが開発されているなんて話は噂のレベルですら聞いたことがないよ」
店の奥に向かって張り上げられた声に反応して、店の主である七宝寺の返事がすぐに届く。本来彼女らの座る位置は、ショーケースの並び替えにいそしんでいる老人の位置からは死角になっているはずなのだが……この老人の地獄耳っぷりに慣れている糸巻は今更余計な反応はしない。重要なのは、その内容だ。
「だろうな。アタシはおろか七宝寺の爺さんすら知らないデュエルモンスターズ関連の話……そんなもんがそうそうあるとは思えない。だから、その与太話はともかくアンタ個人にはアタシも興味がある」
「ふむふむ、つまり?」
続く言葉を察したのか、神妙そうに催促する清明。それに張り合うかのように、糸巻もまたふてぶてしく笑う。
「その喧嘩、このアタシが買ってやるってんだ」
「「デュエル!」」
そして店の奥、以前彼女が八卦とデュエルしたデュエルスペースに移動して。向かい合った彼女らに、一緒についてきた2人から黄色い声援とやる気のない茶々が飛ぶ。
「頑張ってください、お姉様!」
「糸巻さん、これで負けたら最高にカッコ
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