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『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
啓蒙
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法』といい、軽石の部分に綿を貼って目を塞ぎ、幾重にも敷き詰めることで水漏れを防ぐことができる治水技術だ」
「そんな方法があるだなんて……」
これはカートに元来備わっていた知識ではなく、
同調
(
シンクロ
)
したさいに法眼から移された知識だ。
「ふぃひひひひひwww さすが元Aクラスの優等生。そんな方法知らなかったよ。マジ尊いすな〜。でも水があっても質の悪い土じゃあペンペン草くらいしか育たないよ」
「おいどんはペンペン草だけでご飯三杯はいけますばい!」
「土壌改良にはこの子らの力を借りることにしよう」
「この子?」
カートは地面に奇妙な紋様の魔方陣を描くと、呪文を唱える。
すると――。
地面がのたうち、見る者に無数の
襞
(
ひだ
)
が蠢動するかのように錯覚させる。
「ミミズ!?」
そう、ミミズだ。大小無数のミミズが魔方陣の中から這い出てきた。
「ミミズは土の害となるものを食べ、土の利となる糞を出す。生きた肥料、益虫だ」
ミミズの糞には窒素、リン、カリなどの植物の生育に必要な物質やアミノ酸やセルラーゼ、ホスホターゼなどの酵素。ジベラリン、オーキシンなど生育を促す物質が豊富にふくまれているため、植物を育てるさいの良い肥料になる。西洋では黄金の土と呼ばれ、イギリス人はニュージーランドヘ移住するさいに現地に持ち込み酪農王国を築き、オランダの干拓地においてもミミズは農地化の促進に貢献したという。
「たしかに、ミミズの多い土地は良く肥えているだよ。ほえー、そんな理由があったべか」
「ファーッ! なんだか触手みたいでエチエチな気分になりますぞよ」
素直に感心するビーダーマイヤー、赤面して妙な声をあげるフジョシア、そして半信半疑の生徒達。
「ばってんそれが効果あるとしても、すぐには畑は作れないでごわすな」
「ああ、だから水路そのものを畑にしようと思う。水耕栽培だ」
「すいこうさいばい?」
「ヒヤシンスを水で咲かせているのを見たことはないか? それだよ」
土に種を蒔いて育てる土耕栽培は土壌の良し悪しよって植物の生育は大きく異なる。良い土ならば良く育つが、その土作りが素人には難しく管理も難しい。対して水耕栽培は土を使わず水と養液で植物を育てる方法で、根の部分を養液に浸して水と養分と酸素を根から吸収させ、季節に関係なく計画的な栽培が可能だ。
ハイポニカという水耕栽培の手法がある。水の流れを絶やさないことで酸素や栄養分を常に根に供給させるため、養分を多く吸収させることができる。液肥の温度や濃度なども安定させた完璧な環境でトマトにもちいると、ひとつの木に一万を越える実がつくという。
「いきなり凝ったのは無理でも、豆があるから、とりあえずもやしでも作ろうと思う。手伝ってくれるかな?」
「
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