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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋が奏でし二重奏 X
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の向こうは黄昏から宵闇になっていて、これは夜景が綺麗だね──と笑んだ。『悲観論で考え、楽観論で行動せよ』──少しの逆境くらいは楽しんでやるつもりの気概でいる。
そうして、指先をフロントガラスの端から端、そのもっと奥までを、線を引くように虚空をなぞらせていった。この《境界》は、かなり余裕を持たせた範囲設定になっているだろう。
「こんなに大きなものなのに、《境界》で出来るの……?」
「まぁ、出来ないこともないね。規模が規模だから、頻出はしないけど」
アリアはその声色のなかに、憂慮を多分に横溢させていた。それは日常的に顕現させる規模の《境界》でないことを、この1週間程度の同棲生活で理解しているからだ。これだけの範囲は、戦闘にも滅多にお目にかかれない。出来なくはないけれども、という感じだろうか。
「……ほら、見てて」
呟き、フロントガラスのその向こうへと視線を遣る。刹那──宵闇に顕現した紡錘が、この機体の全域を呑み込んだ。ほんの一瞬間の瞬きをした後には、既に羽田空港は目前にある。
滑走路灯が爛々と輝いていて、奥には展望ラウンジが鎮座していた。その奥には大東京のビル群が聳えていて、ほんの僅かな時間でさえ見蕩れてしまうほどには、綺麗な夜景をしている。
「ねぇ、このままキチンと着陸できると思う?」そう問いかけたアリアの声は、いつもの通りに軽快だった。「失敗したら、2人で心中になるね」つられて自分も、磊落な調子で笑い返す。
2人が握っている操縦桿は、動きが連動していた。機体は高度を下げ、滑走路にその足を着けようとしている。ひとしきり笑ってから、「でも」と付け加えて、彼女の顔を見据えた。
「でも──アリアと2人なら、何でも出来る気がするね」
一帯の雑多な灯りに、自分の顔もアリアの顔も、照らされていた。彼女の顔が明るかったのも、頬が紅潮しているように見えたのも、羞恥とかそんなものじゃ、本当はないのかもしれない。「こんな時に、冗談なんて……っ」そうとだけ呟いたアリアの声は、清澄に聴こえていた。
そうして機体の足は、とうとう滑走路に着いてしまう。自分たちの出来る限りの──それでも知識は皆無に等しかった。ただ感覚だけで操縦していて、楽観するだけ楽観していた。
「……今の言葉は、冗談じゃないよ」
アリアが瞠目するのと、自分が減速のためにブレーキを掛けるのは、同時だった。その刹那に着陸の衝撃が押し寄せてきて、滑走路に降り立ってからはもう、感覚任せで操縦をしている。アリアが操縦桿の操作をしながら、自分がブレーキ等の制御をしていた──それでも、止まるのだと確信している。アリアと心中とは言ったものの、流石に死にたくはない。彼女のためにすることはまだ残されているのだし、親友や身内も置いて、
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