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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋が奏でし二重奏 X
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先をインカムからスピーカーに変更すると、ノイズ混じりのなかに男性の声が微かに聴こえた。それは緊急用周波数を合わせて応答しろ──という羽田管制塔の指令だった。マイクを入れて返答する。


「メーデー、羽田管制塔──東京武偵校の如月彩斗です。当機はハイジャックの後に何者かによるミサイル攻撃を受けたため、重篤状態にあります。羽田空港への緊急着陸を要請します」
『ANA600便の如月武偵、了解した。乗客員の安否はどうなっている?』
「乗客員は無事です。ただ、ハイジャック解決のために動いた武偵1人と実行犯が負傷しているので、全員まとめて武偵病院まで搬送しておきました。当機には自分だけです」
『把握した。ところで、飛行機から搬送……とは……?』
「自分は超能力者です。とにかく乗客員は無事です」


腑に落ちない返答なのだろうが、羽田管制塔も取り敢えずは現状を把握した。羽田空港への緊急着陸も承諾してくれるというので、ここからはその準備をせねばならない。
片手で衛生電話を操作し、遠山キンジへと繋げる。コール音が1回鳴ったかどうかのところで、通話は始まった。開口一番が怒号だったために、ボリュームを下げざるを得なかったが……。


『おい、どうなってるんだANA600便は! ハイジャックに次いで、ミサイル攻撃ッ──』
「はいはいキンジ、落ち着いて。ハイジャック事件は自分とアリアで解決したから。ただアリアと犯人とが負傷していて、今は武偵病院に搬送してる。処置を施しているところでしょう。ただ、何者かにミサイル攻撃されてしまってね……。危険だから乗客員も武偵病院に搬送だよ」
『ってことは、彩斗だけで飛行機に留まってるわけか? 操縦は?』
「何とかなってるよ。……ところで、いま君は武偵校に居るはずだよね? 武藤の姿は見える?」


電話口の向こうで何やらキンジは話しているらしい。喧騒に塗れた武偵校──ということは、少なくともこの現状は武偵校にも共有されているわけだ。そんなところで、通話が再開する。


『おう、武藤だ。お呼ばれしたから来たぞ』
「やぁ、お久しぶりだね。ところで電話口の向こうが騒がしいのだけれど」
『十数分前に武偵校に連絡が来た。ANA600便がハイジャックってな。そこで一気に大騒ぎになって、通信科が乗員名簿を確認したら、如月彩斗と神崎・H・アリアって名前を見付けたわけだ。そしたら余計に大騒ぎだぞ! 救護科が神崎さんが負傷したって言ったらもっとだ!』
「ふぅん、なるほどね。君も含めて、みんなアリアのことが大好きなわけだ」
『なっ──!?』


何故か言い淀んだらしい武藤に苦笑しながら、「ほら、本題に入るよ」と諭す。ANA600便のエンジン──内側2基のみがミサイル攻撃で損傷したこと、外側2基は無事なこと。一
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