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ドリトル先生と姫路城のお姫様
第六幕その十

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「先生はそのことも安心しておるのじゃ」
「そうですか」
「だから安心せよ、それで宴はな」
「はい、何時されますか」
「夜じゃ」
 その時にというのです。
「開く」
「そうですか、夜ですね」
「その時に開く」
「そうですか、では夜で日本でないですね」
「それでいてこの城を活かしたな」
「そうした宴をですね」
「考えてくれ、わらわはどうしても日本にずっとおってな」
 普通の人とは比べものにならない位に長くです。
「それで宴といってもな」
「日本からですね」
「離れられぬからな」
 そうなっているからだというのです。
「だからな」
「僕にですね」
「先生の知識を買ってじゃ」
 頼むというのです。
「だから吉報を待っておるぞ」
「はい、それでは」
 先生も頷いてでした、そのうえで。
 お姫様は先生にまた来週こちらに来る様にと告げて姿を消しました、その後ででした。
 先生達は天守閣を降りて王子が持って来た幕の内弁当を食べました、そしてその時に動物の皆が言いました。
「いいお姫様だったね」
「穏やかで気品もあってね」
「先生のこともご存知だったし」
「寄り付きにくい感じもしなかったしね」
「そうだね、お話して悪い印象はなかったよ」
 先生もこう答えます。
「いい意味でお姫様だったね」
「そうだよね」
「流石兵庫の妖怪達の総大将って感じでね」
「いいお姫様だったよね」
「私達もそう思ったわよ」
「しかもね」
 皆は先生にさらに言いました。
「いいことも言ったし」
「先生の結婚のことね」
「絶対に結婚出来るってね」
「いやあ、お静さんもそう言ってくれてね」
「お姫様もなんてね」
「これはもう間違いないわ」
「本当にね」
 先生を見て言うのでした。
「いやあ、それじゃあね」
「先生の将来はもう安泰」
「僕達も王子もトミーもいるし」
「ちゃんとしたお家と収入もあって」
「貯金もあるうえにね」
「結婚も出来るとなると」
「随分生々しいことを言うけれど」
 それでもとです、先生は皆にお弁当のご飯を食べつつ応えます。
「僕としてはね」
「結婚出来るとはだね」
「先生思ってないのね」
「どうしても」
「うん、それはないんじゃないかな」
 まだこう言うのでした。
「本当にね」
「いやいや、それがね」
「僕達天守閣でも言ったけれどね」
「先生は大丈夫だから」
「結婚出来るから」
「ちゃんとね」
「そう、それはね」
 王子も言います、幕の内弁当の味を楽しみながら。
「僕達も思うことだから」
「僕が結婚出来るってだね」
「そしてその人と二人で幸せになれるってね」
 そう思っているというのです。
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