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ある晴れた日に
501部分:冷たい墓石その九
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冷たい墓石その九

「一日ウイスキー三本一気だったのよね」
「あのままだと絶対に身体壊してたな」
 佐々は言った。
「確実にな」
「それで今よね」
 静華は眉を顰めさせていた。
「急に変わってああなって」
「そうよね」
 咲きも言う。皆今は正道を見ていた。彼に視線を集中させそのうえで話している。
「急な変わり様だけれど」
「何があったのかしらね。それでお見舞いって」
「八条病院か」
「そこか」
 皆その場所は頭の中に入れた。無意識のうちに。
「そこにあいつの大事な人がいるのかもな」
「そうかもな」
「確かあの病院って」
 また桐生が言ってきた。
「隔離病棟、あったよね」
「そうよ。あるわよ」
 恵美が彼の言葉に頷いて答える。
「面会謝絶の怪我とか病気の人とかがね」
「そういう人がだよね」
「あとは。公にはできないような状態の人も」
「公にって」
「何それ」
 皆恵美の今の言葉にはその顔を一斉に顰めさせた。
「尋常じゃないけれど」
「そんなのあるの」
「市立病院じゃあまりないってことだけれど」
 恵美はこう前置きしたうえでさらに皆に話してきた。
「そういうのもあるみたいよ」
「あからさまに普通じゃないっていうか」
「異常じゃねえか?それってよ」
 皆その公にできないという言葉にそういうものを感じざるを得なかった。
「どんな状況なんだろ?」
「えげつない病気とか怪我とか?」
「そんなのって」
「あと悪いことして隠れてるとか」
 そうしたケースが述べられていく。
「そういうのかな」
「そういう人がいる場所なの、隔離病棟って」
「精神科とかそういうのじゃないのね」
「あの病院確か精神科は別にあったよ」
 桐生が話す。
「精神病とかの人はそっちでね」
「じゃあ伝染病とか」
「それはまた別の棟だし」
 桐生はこのことも否定したのだった。
「だから。あそこに入るのは本当に大怪我をした人とかね。壊れてしまった人とかなんだ」
「壊れた、か」
「怖い言葉ね」
「全く」
 皆桐生の言葉にもうすら寒いものを感じていた。言葉でははっきりと言えないがそれでも不吉なものを感じていたのである。
「あいつの知り合いもそうだとしたら」
「ああなるのも当然か」
「そうだな」
 酒浸りの現場を最もよく見ていた佐々が最も納得していた。
「それはな。あの荒れ様はな」
「ねえ、あんた達」
 明日夢は真面目そのものの顔で五人に告げてきた。
「聞くのいいけれど。わかってるわよね」
「ええ、よくね」
「わかってるっていうかわかったわ」
 五人も深刻かつ生真面目な顔で明日夢の言葉に頷いた。
「今日の放課後に」
「そのまま」
「で、御前等今日もスタープラチナなんだな」
 
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