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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋が奏でし二重奏 W
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たもや胸臆に燻る靄に気が付いた。違和感とも見て取れる、何だか気持ちの悪い感覚を抱いている。直感がけたたましく警鐘を鳴らしていて、何かが起きるのだという確信だけを持ち合わせていた。理子にもう、打つ手は無い……はずだ。
否──それは、この場
だけ
(
・・
)
の話でしかない。それを直感するのと同時に、視界の端に何かが掛かったのを、《明鏡止水》の眼は見逃していなかった。おもむろに付近の窓まで駆け寄り、硝子の向こうを凝視する。そうして、戦慄した。敵襲だと口を開かずにはいられなかった。
《明鏡止水》の自分の眼を信頼しきっていることを、ここまで恨んだことはない。今しがた目にしたのは、どれをどう見ても、海上から発射された対空ミサイルだったのだ。
「
教授
(
プロフェシオン
)
、どうして……!?」
理子の一言で、燻っていた胸臆の靄は全て晴れた。あの警鐘は、この急襲だけを示唆していたのではないのだ。彼女が裡面で暗躍していた組織、《イ・ウー》──そうして、《教授》。彼の者は始業式の日に、自分に向けた一報で件の依頼を提示してきた人間に他ならない。《イ・ウー》と《教授》とには、何らかの関係性がある。そこまでを指していたのだ。あの警鐘は。
「今度は《イ・ウー》……、面倒だね」
その刹那──轟音が鼓膜を劈き、脳髄を振動させていく。機体の壁面を忙しなく反射していくようで、この機体の全域が、轟音の蠱毒になってしまったような気がした。同時に衝撃も、この全域を急襲してきた。地上ならば大地震かと紛うほどの振動で、壁に手を突いてしゃがみこんでいるのが関の山でしかない。幸いにも、それは一瞬間とその余韻だけで済んだ。その間にこの機体全域は、乗客員が引き起こした動乱──阿鼻叫喚の坩堝と化している。それを自覚した。
しかしこの急襲が《イ・ウー》によるとしたら、これほど面倒なことはない。理子の計画があちら側にも共有されているのかは定かではないが、もしそうだとしたら、それが成功したにしろ失敗したにしろ、追い討ちといった面では、《イ・ウー》側の正当的な理由付けになる。狙いはもちろん、自分たちだろう。まったくの一般人まで巻き込むのは、少々いただけないけれど──。
アリアと理子の無事を確認してから、そのまま視界に入った内線電話の受話器を手に取る。同時に武偵病院まで繋げた幅広の《境界》を顕現させながら、深呼吸もほどほどに口を開いた。
『──武偵の如月彩斗と申します。緊急事態を御連絡致します。当機は何者かによるミサイル攻撃を受けました。乗客及び乗組員の皆様、御手数をお掛けいたしますが、今すぐに避難準備のため、廊下へと御足労願います。現在はハイジャック事件解決のための交戦後、2人の人間が負傷しております。乗客員のなかに負傷者が居りません場合には、当2人を
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