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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋が奏でし二重奏 W
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音色が間近に聞こえて、ひとたびは治まったはずの脈搏も、どうやらまた目を覚ましてしまったらしい。それを少女2人に気取られないようにしながら、いつものように泰然として笑いかけた。
「それは、たった1つだけ。……
信頼
(
・・
)
に他ならないんだ」
「彩斗とアリアの、信頼……?」
理子の口元から衝いて出た
疑懼
(
ぎく
)
に「そう、信頼」と穏和に返す。
「アリアが負傷して、個室に撤退したでしょう。応急処置をしているらしい時間を見計らって、自分は君の意識を引かせ続けていた。そうして、アリアの処置が終わったらしい頃合いに、非常に限定的な攻撃手段でもって、君の逃避経路を一方向に狭め続けたわけだ。……理子は、アリアがそのまま後衛で処置だけを済ますと思っていたでしょう。或いは、こういう舞台では背後からの急襲は絶無だと、そう盲信している節があるね。その盲信をこちらは突いたわけだ」
「同時に」と話を続ける。
「アリアの性格を、こちらは自分なりに解釈しているつもりだからね。後衛で事が済むまで大人しくしているような子じゃ、この子はないんだから。絶対に出てくる──そう確信していたよ。君もご存知だろう? 狙った獲物は逃さない、強襲成功率100%の子なんだから」
そこまで話し終えたところで、「そっかぁ……そうだよねぇ」と、理子は自嘲気味な笑みを洩らした。髪元を結っていた飾り物も全て解いて、肩から腰元、床に付くまで流していく。髪の一筋一筋を掌に載せて、幾度か指先で遊ばせながら、理子は独り言のように哀愁を呟いた。「……《イ・ウー》で磨いたこの能力まで使ったのに、なぁ。そっか、駄目だったか」
「……やっぱり、2人は強いね。理子は本気でアリアを斃すつもりだったから、あそこまでしたんだけど──それは、あっくんとしても予想外のはずだったよね。あっくんがアリアのことを大事に思ってるなら、そこで完全に戦意を削げたと思ってたのに、違った。むしろ増幅させてて、本当に2人は、パートナーなんだなぁ……って思ったよ。理子が負けた理由も、納得だもん」
そう言って理子は、両腕を掲げながら苦笑を零した。その意味を理解するのとアリアが視線を遣ってくるのとが同時で、小さく頷いてやると、彼女は内ポケットから手錠を取り出す。小柄な少女の手には少し大きめだけれど、アリアはそんなことは気にせずに理子の傍らに歩み寄った。
「殺人未遂の現行犯で、逮捕するわ」
アリアはしゃがみこむと、手にしている手錠を理子の手首に逡巡なく嵌める。彼女も微塵の抵抗すら見せずに、この一連の騒動は意外にも静静と終止符が打たれたのだ。
それでは、自分は取り敢えずここに残って、まずは《境界》でアリアと理子を武偵病院に搬送しよう──などと考えを巡らせているうちに、ま
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