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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋が奏でし二重奏 W
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。再装填の時にそれは読んでいたため、あらかじめ《境界》を前方に用意しておくことでそれらを全て防いだ。
今度こそ銃を構え、着地時の硬直反応を起こしている理子の脚元を3点バーストで狙い撃つ。規則性のある銃声と反動、マズルフラッシュとを感じながら、幾度も照準を合わせ直した。
《明鏡止水》があるのと無いのとでは、銃の命中精度は大きく異なる。自分の銃の腕は並以上だと自負はしているものの、それでも能力に頼り切っている節は否定できないのだ。しかも今回は、能力を発動させたくとも発動できない──《緋想》が理子の手中にあるために。
途端にブローバックを起こしたベレッタが、弾切れだと告げてくる。そのまま手元にあるロングマガジンで再装填すると、今度はフルオート方式にして理子へと照準を合わせ直した。
一点集中の銃撃を警戒しているのか、理子は回避を続けるだけで一向に攻める気配を見せてこない。予備弾倉はあるものの、最悪にいけばこのままだと弾切れだ。しびれを切らして自分に攻めさせようとしているのだろうが、明らかに《緋想》を持つ彼女の方に分がある。
せめてあちら側に──と一方向に追い込むように攻め立てていく。理子の半身に圧力を与え続け、反対方向へと回避させる。そうしてそのまま、後方へ後方へと押し遣っていって──もともと自分たちの居た個室のあたりを理子は背後にすると、おもむろにその扉が開け放たれた。
同時に「彩斗だけに集中してて、熱心なことねぇ」と、皮肉めいて現れたアリアが握り締めている小太刀の刀身が、照明に爛々としながら、理子の双髪のその両方を一挙に両断してしまった。
「ッ、なんで──!」
アリアへと振り向きながら、理子は両断された髪の付け根のあたりを手でまさぐっている。ここで初めて、彼女は明々白々な狼狽というものを見せた。驚愕に目蓋を見開かせて、照明を映射しているその金眼は、右往左往と忙しなく泳いでいる。口は半開きにされたままで、そこから洩れた狼狽とか、色々と綯い交ぜになった感情がそのまま、彼女の顔に貼り付いていた。
《緋想》は理子の髪から離れると、床に落ちて安堵の溜息を吐いた──そんなように、自分には聴こえた。清澄な金属音が、如何にも《緋想》らしかったのだ。刀身もそうであった。紅色の非常灯に爛々としていて、やはり文字通りの《緋想》の柄を、《境界》越しに握り締める。
ここで理子は茫然から立ち返ったのか、眼光炯炯として自分とアリアとに銃口を向けた。以前と同様に挟撃体制を構築されているにも関わらず、やはり、彼女は断念をしない。そこが、強い。
《明鏡止水》の眼がワルサーP99から射出される銃弾を捉えるのと同時に、自分とアリアとの前方に《境界》が生まれた。たった2発の銃弾は紡錘のその中を目掛けて行くだけで、この先どうしようとい
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