黒星団-ブラックスターズ-part3/お出掛け
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あたしもかつては貴族だったし、あいつらのことだから…」
マチルダは、魔法学院で平民向け舞踏会が開催されると聞いて目を丸くした。彼女もかつては貴族であり、その名をなくして盗賊に身を窶したこともあって、貴族の平民に対する見下しの強さも知っている。まさか、こんな催しをするとは思いもしなかった。いくら学院長であるあのエロジジイが平民にも寛容であるとしても、周りの教師や生徒たちが許すとは思えないのに。きっと水面下では反対者が大勢いることだろう。
「それにテファ、あんたは学院の関係者ですらないんだし、それ以前に…」
女王の配慮で学院に保護されてるとはいえ、テファはそもそも始祖ブリミルの敵とされるエルフの血を引くハーフエルフ。その特徴たる長く尖った耳を見られてしまえば、一気に大騒ぎになるに違いない。
「さらにもっと言えば、あたしは学院にちょっかいを出したんだ。さすがに教員連中が黙っちゃいない」
以前、フーケとして『破壊の杖』を盗んだ前科もある。これが一番学院に足を運べない理由だろう。マチルダは、できればテファの誘いを受けたいところだが、ここに来てフーケとしての思わぬツケが出てしまった。いくら学院長のオスマンが平民への偏見もなく、それ以上に美女に目がなくとも、学院に実害を加えた前科者を付け入らせる隙を与えるほど甘くはない。本性を現すまでロングビルとして働いた際には教師全員に顔も知られている。
「じゃあ、姉さんは来ないの…?私は姉さんにも来てほしいのに…子供たちだってきっとそうよ」
「こればかりは自業自得と言うやつさ」
「でも、それについては間接的に私のせいなのに」
「あんたが気にやむことじゃないさ。心配しなくても、子供たちはきっと喜んでその舞踏会に足を運んでくるだろうさ」
自分は破壊の杖騒動の発端である以上、堂々と顔出しなどできるはずもない。自分へのもてなしは諦めるように言うのだった。
「お姉さん、学院に来ないの?」
「ごめんよリシュ、あたしはちと学院に顔を出し辛いんだ。今は修道院のシスターとして、真面目に働かせてもらうよ。学院には子供たちだけ行かせる。そっちでの面倒はシュウとテファに任せるよ。リシュ、その際はあの子達と仲良くしておくれ」
結局、マチルダはテファの誘いを断わる意向を示した。テファは望まぬ返答にかなり残念そうに俯く。マチルダとしては罪悪感この上なしだが、こればかりは仕方ない。テファがエルフの血を引いてることすら危ない綱渡りなのに、盗賊フーケとしての自分が顔を出してしまえば、大騒動だ。割りきるしかない。
「でも私、ずっと姉さんのお世話になってばかりだし、シュウにも何度も助けてもらった。今回だって、私たちのことを心配してくれてる陛下からご厚意をもらってる。だから、私からも何か返していけないかなって」
でもテファとしては、自分はずっとマ
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