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ユア・ブラッド・マイン─焔の騎士は焦土に佇む─
第一話 製鉄師候補と魔女候補
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その代わり、『製鉄』位階の生徒が数多く押し寄せてきたが、彼女はそれを全て断った。以上の経緯によって名付けられたのが全てを拒絶する魔女姫──略して『絶姫』だ。
 故に彼女は未だに『魔女候補』である。しかし生徒内序列では完全に別格として扱われている。

「ここです!」
「めっちゃ高そうな店だな……」

 冴空が案内した店は静かな雰囲気を纏っている店で見るからに一見さんお断りというようなモノだった。もっとも、氷絃は一応そういう雰囲気がなんとか読み取れるだけで、視界には一人の男が燃え盛っている店の前で佇んでいる様子が映し出されている。

「学生向けだからお値段はリーズナブルらしいです。さ、入りましょう!」
「はいよ」

 二人は店内に入り、冴空が目を輝かせて氷絃の手を引っ張りながらアクセサリーを見て回る。

「確かに安いな、小遣い程度で買えるのが揃ってる。しかも魔鉄器だからそう簡単に壊れないか……」
「そうですね、こんなに可愛いくて丈夫なのが千円なんて……!」

 冴空がはしゃぐ姿を氷絃は穏やかな視線で見ながら、彼女の買い物に付き合った。

「氷絃くんはどっちの方が好きですか?」
「あー……そっちの紅色の方が俺は好きだな」
「そうですか。ならこっちですね!」
「おいおい、俺の意見で決めていいのか?」
「いいんですよー」

 いくつか見定め、氷絃の意見を聞いて冴空は一つのブローチを購入した。

「氷絃くん、付き合ってくれてありがとうございます。つまらなかったですよね?」
「いや、冴空とだからな、楽しかった。ブローチ、似合ってるぞ」
「えへへ……ありがとうございます。では、交流会の会場へ行きましょう」
「ああ。分かったからあんまり引っ張るなって」

 嫉妬の視線を受けながら、氷絃は冴空に引っ張られて交流会場へと足を運んだ。
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