第一話 製鉄師候補と魔女候補
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されている。そのため中等部から在籍しているということ自体がステータスになるほど彼らの地位を押し上げている。
一応、氷絃はコレに該当するのだが彼はとある事情からその中でも序列が最も低い。
最後に高等部からの編入である『製鉄師候補生』
積み上げてきたものが何もないと中等部組から判断されているため、格下に見られ、舐められている。
氷絃は視線を無視して朝飯の定食を注文、十数秒で手渡され、誰もいない席に座る。
「いただきます、と」
熱々の白米に味噌汁、だし巻き玉子におひたし、メインの鯖の味噌煮を十分程で平らげて食器を返却する。相変わらずの視線が氷絃へと送られてきたが、やはり彼は無視して自室へと向かった。
自室に戻った氷絃は日課の筋トレや魔鉄加工技術を向上させる練習、そして春期休暇の課題を確認し終える。すると交流会まであと二時間となっていた。
「交流会まであと二時間か……何するか……移動には二十分あれば充分だしな……」
選択肢1-冴空の所へ行く
選択肢2-寝る
選択肢3-読書
選択肢4-ボーッとする
選択肢5-鍛練
「冴空に会いに行くか。アイツといれば時間なんてすぐに経つしな」
冴空は氷絃の幼馴染みであり『魔女体質』の女子生徒だ。彼女も高等部からの編入で、氷絃の記憶がある限りでは十一年目の付き合いになる。
氷絃は端末を起動させる。メッセージアプリの一番上にある『冴空』をタップ、そして『これから会いに行ってもいいか?』と送信──したと同時に送った本人から『これから会いたいのですが、お時間ありますか?』と送られてきた。
まるで合図をしたかのようなタイミングのよさに氷絃は笑みを溢して女子寮の方へ迎えに行くという旨のメッセージを再度送信すると、また同時に同じような内容の丁寧なメッセージが送られてきた。
そこから数度、自身の意見を通そうとお互いに同じタイミングに送り続けて結局、冴空が折れたので氷絃が迎えに行くことになった。
「直行になると思うからコイツは持ってた方がいいな」
そう言って氷絃が手に取ったのはトライアングル型の銀色のブローチ──ソレは学園側が用意した『OW深度』と『立場』を示したモノであり、聖境学園での生徒内序列に更に拍車をかけるモノでもある。
氷絃が持っているのはトライアングル──位階が『製鉄』であることと『製鉄師候補』の証明になる。次に『製鉄』位階の『製鉄師』はスクエア型。
五芒星型が『鍛鉄』であり『製鉄師候補』それを円で囲ったモノがその位階の『製鉄師』
そして六芒星型が『振鉄』の『製鉄師候補』で同じく円で囲ったモノがその位階の『製鉄師』という印だ。
聖境学園は他の製鉄師養成学園と比べると少しだけ、異常さを孕んで
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