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ないように簡易調理器具はいつでもストレージに入っている。ないなら適当に作るという意味での提案をする前に、二人の片割れのスキルを思い出した。
「大丈夫よ、エネバ君。私、お昼持ってきてるから」
ニコッと微笑んだアスナは右手を宙に走らせる。グローブが明滅して消えると、今度はバスケットが実体化した。どうやら俺の予想した通りらしい。勿論、その中身も。
「なぬ。聞いてないぞ。いや、ありがたいけど。そ、それで……手作りですか」
キリトの言葉にアスナは返事をしなかった代わりに、澄ました顔で少しだけ口元を綻ばせる。バスケットの蓋が開くと、そこには俺の物とよく似たサンドが数個収められていた。
「ちゃんとグローブ外してから食べるのよ」
「お、おう」
キリトとアスナは少し遅め???といっても俺と大差はないが???の昼食を取り始めた。二人が食べているのはどうやら俺と同じくサンドのようだ。当然ながら味付けは違っているはず。
二人が食事を取っている間は、自分のスキル上昇具合を確認したり、今日の探索でドロップしたアイテムの処理等をしていた。メインメニューの窓を閉じると同時に、キリトがなにやら興奮している様子で、俺に力説してきた。
「何をそんなに騒いでるんだよ」
「エネバ!! アスナはすごいぞ……天才かもしれない」
興奮した面持ちで、キリトは半分以上無くなったサンドを見せてくる。
「キリト君、持ち上げすぎだって」
少し頬が赤くなっているアスナは、キリトの肩を軽く叩いて抗議しているが、当の本人はまるで聞いていないらしい。
「ふーん?」
かなりの興奮具合だ。アイツがここまでの喜びというか、感激に近い感情を表すのはかなり珍しいので、俺も意識しないうちに眉が持ち上げる。
「このサンドウィッチの味付け、醤油ベースなんだって!!」
「何!? 醤油だと!?」
あぐらをかいて座っていた俺は、その単語一つだけで衝撃が走り、思わず立ち上がった。
何を隠そう、このゲーム、もちろんモデルはいわゆるファンタジー世界だ。そのため、和食といった概念がほとんどない。醤油や、現代的な調味料であるマヨネーズやケチャップ、ソースというのは滅多にお目にかかれない、下手をすればS級食材よりも貴重なものなのだ。
「アスナ……お前、マジか。天才じゃねえか。俺でも醤油は作ってないぞ」
「うん……でも、これだけの試行回数を重ねると、ね」
ウィンドウを開いて、可視化して見せてくれた料理履歴には、うんざりするほどの回数の履歴が残っている。これには、さしもの俺も白旗を上げざるを得ない。
その後、同じく料理スキルを持つアスナと意見交換した。醤油の味見や、同時に持ってきていたマヨネーズに感動したり、また、こちら
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