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レーヴァティン
第百十話 都に移りその十

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「食うものはだ」
「同じたいな」
「それが軍勢の正しい姿と聞くしな」
「はい、若しです」
 良太がここで言ってきた。
「兵が粗末なものを食べてです」
「大将が馳走を食っているとな」
「それは兵達の不満につながります」
「そして士気にも関わるな」
「ですから」
 このことが容易に予想出来るからだというのだ、実際に大将だけがとなって兵達の不満につながった話はある。
「ここはです」
「出陣中は誰もが同じものを食う」
「そうすべきであり」
「俺の今の考えはか」
「正しいです」
「そうか、ならな」
「今宵はです」
 良太は英雄にあらためて話した。
「全軍です」
「鍋を食う」
「そうしましょう、ただお魚は」
 肝心のそれの話もだ、良太はした。
「特に決めていないですね」
「魚ならな」
「何でもいいですね」
「新鮮なものならな」
「なら鯖でも何でも」
「いい、河豚でもな」
 この魚でもというのだ。
「構わない」
「毒のない河豚ですね」
「毒のある河豚でもいいが」
「それは、ですね」
「調理が難しいからな」
 このことはどうしてもあることだ、毒のある部分を慎重に取り除いてそのうえで食わねばならないからだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「毒のある河豚はな」
「出来るだけですね」
「避ける」
 こう言うのだった。
「そうしよう」
「それでは」
「とにかく今宵は全軍魚の鍋だ」
 このことはもう決めていた、その上での言葉だ。
「それを食う」
「いい出陣の景気付けにもなるのう」 
 当季が笑って言ってきた。
「鍋とはのう」
「そうだな、鍋にだ」
「それにじゃな」
「酒だ」
 これも必要だというのだ。
「それも出す」
「そうか、やっぱりのう」
「酒はいい景気付けだ」
「そうじゃのう、やっぱり」
「だからだ、ここは酒も出してな」
「全員で飲んでぜよ」
「出陣したてで士気を上げてだ」
 そうしてというのだ。
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