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戦国異伝供書
第四十六話 砥石攻めその六

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「必ずじゃ」
「城の方から火の手が上がる」
「既に手筈は整っておりまする」
 幸隆が横田に言ってきた。
「ですから」
「だからですな」
「はい、夜になれば弟と孫がです」
「真田家の忍達と共に」
「暴れ城に火を点けるので」
「では城に火を点ければ」
「その時こそです」
 まさにと言うのだった。
「登りはじめて下され」
「わかり申した」 
 確かな声でだ、横田は幸隆に応えた。そして晴信はここでまた諸将に対して言った。今度の言葉はというと。
「今日こそな」
「はい、飯をですな」
「たらふく食ってじゃ」
 こう信廉に答えた。
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですな」
「しこたまな」
 晴信は信廉に話した。
「力を養いじゃ」
「攻めるのですな」
「そうじゃ、だからな」
「今日の昼と夜は」
「皆腹一杯食うのじゃ」
 飯をというのだ。
「存分に炊くのじゃ」
「わかり申した、それでは」
「うむ、その様にな」
「腕が鳴りもうす」
 横田は笑顔になって晴信に答えた。
「今より」
「戦が楽しみか」
「思う存分戦い」
「手柄もじゃな」
「立てて」
 そしてというのだ。
「褒美を頂きとうございます」
「ははは、それは楽しみじゃ」
 横田の士気を見てだった、晴信はまた笑って言った。
「ではな」
「それではですな」
「思う存分手柄を立てよ、してじゃ」
「褒美もですな」
「何でも申してみよ」
 その時にというのだ。
「よいな」
「それでは」
「その様にな」
 先陣の横田にこう言ってだ、そしてだった。
 晴信は今は軍を動かさせずそのうえで夜を待った、そして夜になったその時にであった。
 幸村はすぐにだ、矢沢に十勇士達と共に確認を取った。
「では」
「時が来たな」
「左様ですな、それでは」
「はい、これよりな」
「動きましょうぞ」
「そうする、では頼むぞ」
 こう幸村に言うのだった。
「よいな」
「それでは」
「そしてじゃ」
 矢沢は幸村にさらに言った。
「お主と十勇士はじゃな」
「はい、忍術も使い」 
 そしてというのだった。
「思う存分城の中で暴れ」
「乱すな」
「火も点けます」
 城の中にというのだ。
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