第六幕その六
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「これといってね」
「それじゃあね」
「お話を聞いてもね」
「どうもないわよ」
「そうしたことはね」
実際にと言う先生でした。
「ちょっとね」
「まあ大地震とかね」
「そんな大変なことがないとね」
「大丈夫よね」
「そうよね」
「そう思うよ、流石にね」
そんなとんでもないことが起きない限りは、とです。先生も考えつつ皆に対してお城のことを答えるのでした。
「そんなことでもないとね」
「このお城は大丈夫よ」
「今は火事とか落雷でも大変なことにならないし」
「台風もあるけれどね」
「大地震でもないと」
「日本は災害の多い国だけれど」
地震、雷、火事、そして台風とです。先生はこのことにも言います。
「そうしたものへの備えがしっかりしてるしね」
「今は姫路城も耐震考えてるし」
「そのうえで修築とかしてるしね」
「だったら大丈夫ね」
「相当なことがないと」
「そう思うよ、それにこうしたお話は」
姫路城がどうなるかはです。
「姫路市、ひいては兵庫県のことで」
「幾ら何でも先生とはね」
「関係がないよね」
「住民選挙には行けても」
「うん、それでもね」
こうお話してです、先生は皆と一緒に上に登っていきました。そして最上階に着くとです。
先生と動物の皆、王子とトミ―以外は誰もいませんでした。ですが動物の皆は最上階に着いてすぐにでした。
周りを見回してです、こう言いました。
「気配感じるよ」
「僕達の他に誰かいるよ」
「誰もいない筈なのに」
「どうしてかしら」
「ひょっとして」
王子は皆の言葉を聞いてはっとなって言いました。
「あのお姫様がいるのかな」
「そうかもね」
「これはね」
「誰もいない筈だけれど」
「これは」
「やっと来たわね」
とても奇麗で上品な女の人の声がしました。
そして神社の中から白いお肌に切れ長の目、黒い髪に赤や白、桃色の艶やかな江戸時代のお姫様の着物を着ています。
その人を見てです、皆はすぐにわかりました。
「その天守閣にいるっていうお姫様だね」
「天守物語に出て来た」
「その御姫様だね」
「如何にも」
その通りだとです、そのお姫様も答えます。
「わらわの名はおさかべ姫、富姫ともいう」
「ああ、やっぱりね」
「この天守閣にいる方だね」
「それで泉鏡花さんって人も書いた」
「まさにそのお姫様だね」
「左様、そなた達が来たのはわかっていた」
お姫様は皆の前に立って言います、何時の間にか艶やかな侍女達も出てきていてお姫様の後ろに控えています。
そして妖しさと気品を放ちつつです、こう言うのでした。
「ドリトル先生も」
「失礼、返事が遅れました」
ここで先生は帽子を右手に持って胸にやって一礼しました。王子と
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