第三章
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「それならいいかとなってです」
「働かないか」
「そうなるのでは」
「いや、流石に希望があるとな」
ゼウスはデメテルの言葉に実は内心そうかも知れないと思いつつも必死に主張した。威厳は崩していない。
「彼等も働くだろう」
「それはドイツのお話ではないですか?」
こう言ったのはアポロンだった。
「彼等はしっかりしていますが」
「いや、ドイツはドイツでだ」
「ギリシアはギリシアですか」
「あちらは神々が違う」
そもそもというのだ。
「北欧の方だからな」
「オーディン殿達なので」
「彼等の話だ」
ドイツについてはというのだ。
「だから話さないでおこう」
「他の神々の世界には入らないですね」
「それは礼儀だ」
神々の間のそれだというのだ。
「だからな」
「では」
「うむ、我々はギリシアの民達を導こう」
こう言ってだった、ゼウスは居並ぶ神々と共に居間を見守っていた。家の者達がしょっちゅう居間に出入りしてだった。
箱を見る、しかし誰もだった。
「開けるの面倒臭いよな」
「そうよね」
「じゃあ開けなくていいな」
「何が入ってるか知らないけれど」
「開けるの面倒くさいから」
「どうでもいいわ」
こんなことを言って誰も開けない、その状況を見てだった。
アルテミスも唖然となってゼウスに言った。
「あの」
「そのうちだ」
ゼウスはアルテミスにも即座に言葉を返した。
「開けるからな」
「だからですか」
「待つことも大事だ」
実はゼウスもすぐに開けると思っていたが開けないので唖然としている、しかしその感情も隠して言うのだった。
「だからな」
「ここはですね」
「待つのだ」
あくまでこう言うのだった。
「いいな」
「では」
アルテミスも父でもある主神の言うことには反対出来なかった、それは他の神々も同じで。
今は待った、だが。
待てどそれでもだった、家の者達は面倒臭がって箱を開けようとしない。それが一週間過ぎてだった。
ゼウスもだ、遂にこう言った。
「あの家の者達は何時になったら開けるのだ」
「あのですね」
今度はデメテルがゼウスに言った、ゼウスの姉妹である彼女が。
「あの家の者達は仕事ぶりもいい加減で」
「学業もな」
「家事も。とかくです」
「あまりにも怠け者でか」
「明日どうなるかもです」
そうしたこともというのだ。
「特にです」
「思うことなくか」
「はい、そして」
そのうえでというのだ。
「あの様にしてです」
「最低限のことだけしてか」
「後は怠ける」
「そうした者達だからか」
「開けないかと」
「何ということだ、開ければだ」
その箱とをだ、ゼウスは眉を顰めさせて言った。
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