第一章
[2]次話
パンドラの箱
この時ギリシアのオリンポス山においてオリンポスの神々の長であるゼウスはギリシアの状況を見て嘆いていた。
「全く以て駄目だ」
「あのですね」
傍にいたヘルメスも呆れた顔で応えた。
「幾ら何でも」
「今のギリシアの民達は」
「あまりにもだ」
ゼウスは天空の神つまりオリンポスの主の座から項垂れて言った。
「怠惰に過ぎる」
「お陰で経済はです」
「破滅している」
「というか幾ら援助しても」
欧州の他の国々もっと言えばドイツがだ。
「どうせ破産すると」
「破産を避けようとせずな」
「それならなって」
「遊んでしかもだ」
「何もしようとしませんね」
「これはいかん」
ゼウスは項垂れつつも言った。
「民達に喝を与えねばな」
「ではどうされますか」
「ここは温故知新だ」100
「といいますと」
「希望を送る」
ギリシアの者達にというのだ。
「そうすればだ」
「諦めずに働けばですね」
「きっとよくなることを思い出させるのだ」
是非にという言葉だった。
「ここはな」
「そうされますか」
「そうだ、そしてだ」
そのうえでというのだった。
「ギリシアに立ち直ってもらう」
「そうされますか」
「そうだ、何があってもな」
この世にというのだ。
「希望さえあればな」
「やっていけますね」
「そもそもだ」
ゼウスはここでヘルメスにこんなことも言った。
「世の中には最初から災厄があった」
「それも多くですね」
「これでもかとな」
「そもそも我々自体がですね」
「多くの災厄に見舞われてきている」
「はい、まことに」
「わしは父上に飲み込まれそうになった」
ゼウスは自分自身のことを話した。
「生まれてすぐにな」
「そうでしたね」
「これ自体が災厄だ」
「この世に災厄がなかったというのは」
「それは幻想だったのだ」
ゼウスはこの種明かしをヘルメスに話した。
「最初からな」
「そうでしたね、ですが」
「人間達には言っていなかった」
このことをというのだ。
「あえてな、そしてだ」
「人に希望を与えましたね」
「そうした、我々は希望がなくともな」
「災厄に立ち向かえますね」
「神の力があるからな」
それ故にというのだ。
「それが出来るが」
「それでもですね」
「人間は違う、だからだ」
「あの時箱を渡し」
「あえてだ」
まさにというのだ。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ