第一章
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セリーグでは
阪神ファンの御子柴健作はこの時妻の友奈に無理に誘われて西宮球場に来ていた、彼は一塁側の席に座ると妻にこう言った。
「野球は阪神だろ」
「いえ、阪急よ」
友奈は夫に力説した、角刈りでいかつい顔立ちでしかも一八〇あるがっしりとした体格の彼に対して。見れば友奈は一五〇程で髪型は山口百恵を真似ている。やや垂れ目で厚めの唇で雪の様に白い肌である。胸は結構ある。
「やっぱりね」
「阪急って何なんだよ」
「だから阪急ブレーブスよ」
このチームだというのだ。
「観てわかるでしょ」
「いや、わかるっていうかな」
それこそとだ、健作は友奈に答えた。
「俺阪神ファンだからな」
「阪急興味ないの」
「パリーグ自体にな」
「折角関西にいるのに」
「関西だと阪神だろ」
むっとした顔でだった、健作は友奈に反論した。二人が座っている席の周りは阪急ファン達がいるがその数は甲子園より遥かに少ない。
「やっぱりな」
「そう思うのは浅はかよ」
友奈は夫にその少し厚い唇を尖らせて言い返した。
「関西に野球チーム四つあるでしょ」
「阪神がセリーグでな」
「阪急、南海、近鉄って」
友奈はこの三つのチームの名前を挙げた。
「あるわね」
「その三つはパリーグだな」
「どのチームも親会社鉄道会社でね」
「面白い一致だよな」
「まあそこは色々歴史があるけれど」
実は阪神は最初はパリーグに入る予定だったと言われている、このことは様々な経緯があってそうはならなかった。
「まあ四チームとも親会社は鉄道会社ね」
「そうなってるな」
「それで私は阪急ファンなのよ」
「それで俺を今回ここに連れてきたんだな」
「西宮球場にね」
「まあ甲子園から近いけれどな」
阪神の本拠地甲子園球場と阪急の本拠地西宮球場は実は同じ西宮市にあるのだ、まさに目と鼻の先だ。
「行く距離は大して変わらないな」
「だからいいでしょ」
「ああ、しかも今日阪神の試合甲子園でやってないしな」
「だからここに案内したのよ」
「そうか、しかし俺阪急の選手というかパリーグの選手はな」
それこそと言うのだった。
「殆ど知らないぜ」
「誰知ってるのよ」
「南海の野村と近鉄の鈴木と阪急の山田位か」
「有名な選手だけじゃない」
「それ位だな」
他の選手は知らないというのだ。
「監督位は知ってるけれどな」
「そうなのね」
「あっちの監督は西本さんでな」
三塁側を見てだ、健作は友奈に言った。
「近鉄のな、それで阪急は上田さんだったな」
「監督さんは流石に知ってるわね」
「ああ、けれどな」
「知ってるのはそれ位ね」
「阪神の選手ならだれでも言えるさ」
それこそ二軍のルーキーまでだ。
「出身
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