第三章
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「だからだ」
「これからのことは」
「そなたに任せるが」
「それだけではですか」
「そなたはまだ若い」
即ち経験が足りないというのだ、政治を行うにあたって必要なものの一つが。
「だからだ」
「あの方をですね」
「残しておく、だからな」
「あの方を頼りにして」
「国を治めよ、いいな」
「わかりました」
娘は父の言葉に頷いた、そしてだった。
ファラオは次にある部屋に入った、そこはセメンクカラーの部屋だった。王宮のその部屋に入ってだった。
彼はそこにいる者、見れば女の服を着た色の白いエジプトではなく異国の国の顔をした女だった。その女に対してだ。
ファラオは穏やかな声でだ、こう言った。
「妃よ」
「はい」
女はファラオの言葉に落ち着いた声で応えた、見ればファラオより幾つか年上の感じがする。
「これからのことですね」
「そうだ、私はこの通りだからな」
娘に対するのと同じ言葉だった。
「だからだ」
「それで、ですね」
「これからはな」
「アンケセパーテン殿を助けて」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「いいな」
「はい、この国をですね」
「真理に基づいてだ」
そのうえでというのだ」
「アテンの下でだ」
「治めていくことをですね」
「頼みたい、私はこの世を去るが」
「その後も」
「エジプトは続くのだ」
ファラオである自分が世を去ってもというのだ。
「そして政治もだ」
「だからこそ」
「その後もだ」
「この国を治める為に」
「是非だ」
まさにというのだ。
「そなたはこれからもな」
「ネフェルティティとしてでなく」
「セメンクカラーとしてな」
その名、その立場でというのだ。
「エジプトを治めてくれ」
「承知しております」
これがセメンクカラーの返事だった。
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