第五章
[8]前話
「あの子達を見ていたら」
「ひょっとして」
「そう、ひょっとしてよ」
本当にというのだ。
「私もってなったわ」
「ご主人となのね」
「旦那まだ忙しいけれど」
それでもとだ、遥は同僚に切実な顔で述べた。
「夜ね」
「そうしたら?男の人も忙しくてもね」
それでもとだ、同僚も彼女に話した。
「あれでね」
「したいっていうのね」
「あまり気遣ってしないと」
夜にというのだ。
「浮気されるかもよ」
「忙しくてもよね」
「男の人って合間見るから」
例え仕事で忙してもだ。
「あんたもしたいって思うならね」
「それならよね」
「もうここはね」
「私から誘って」
「そうもしてね」
そのうえでというのだ。
「した方がいいわよ」
「やっぱりそうよね」
「そう、じゃあね」
「ええ、今夜にでもね」
「すればいいわ」
「そうするわね」
「したいと思ったら」
まさにとだ、同僚は遥に確かな声と表情で告げた。
「若い子達程じゃなくてもね」
「するべきね」
「そう、それが夫婦でしょ」
「そうね、気遣いだけじゃなくて」
「することもよ」
「大事ね」
「そうよ、じゃあ今夜頑張るのかしら」
同僚は遥にくすりと笑って尋ねた。
「それで」
「私今日はお昼勤務だし旦那は今日も忙しいけれど」
それでもとだ、遥は述べた。
「やってみるわね」
「そういうことでね」
「あの子達を見てそう思ったわ」
遥はくすりと笑った、そしてその夜は実際にそうした。
件の二人はやがて退院したがその時も誰が見てもだった、だが病院側はそんな二人を笑顔で送り出した。その後病院のナース達の間で子供が生まれる者や結婚した者が増えたが遥もそのうちの一人であった。
夜の声 完
2019・1・17
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