第二章
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「西野さんは左手ね」
「それで二人共入院してね」
「お互い知り合ったのよね」
「そこから付き合った」
「同じ学年らしいし」
「患者さんの恋愛はいいとして」
それでもとだ、遥は眉を曇らせて述べた。
「人目には気をつけて欲しいわね」
「そうよね」
「そこは気をつけて欲しいわね」
「妬けるからね」
「どうにもね」
「そう、言わないけれど」
もっと言えば言うことではないからだ、遥は元々そうしたことは言わない主義でその二人にも行っていないのだ。
「それでもね」
「若いっていいっていうか」
「妬けて仕方ないわね」
「あそこまでいちゃいちゃされると」
こうした話をしていた、だが。
その話の日遥は夜勤だった、それで夜だった。
一緒に夜勤にあたっていた同期の同僚にこんなことを言った。
「お昼の話だけれど」
「ああ、夜遅くに出るっていう」
「その噂ね」
「遥気にしてないでしょ」
「ええ、本物の幽霊が出ないと」
遥としてはというのだ。
「私は驚かないわ」
「そうなのね」
「そうよ、幽霊でも出ないと」
それこそというのだ。
「私はね」
「驚かないのね」
「何度も言うけれど病院にいたら」
人の生死が隣り合わせにある場所だからだというのだ。
「もうそれ位じゃね」
「驚かないのね」
「そうよ、噂は噂でしょ」
「真実はわからないっていうのね」
「だったらね」
「驚かないで」
「旦那の方が心配よ」
彼のことについてもまた言った。
「私はね」
「そうなのね」
「さっきメールしたわ」
スマホを取り出しての言葉だ。
「それでね」
「ちゃんとなのね」
「夜はしっかり寝て。カレー作っておいたから」
「カレーは温めて」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「食べてってね」
「伝えたのね」
「そうしたけれど」
「やっぱり心配なのね」
「そう、今日も遅いし」
だからだというのだ。
「本当にね」
「疲れが心配ってことね」
「過労になるとよくないから」
だからだというのだ。
「今はね」
「どうしてもなのね」
「旦那の方が心配よ」
「そこ主婦ね」
「そう、私は主婦よ」
まさにとだ、遥は同僚に言った。そうしてだった。
夜勤をしていった、この日の夜はこれといって何もなく平和なものだった。それで夜の二時にだった。
遥は病院の中の巡検に出た、そこでだった。
病院のある一室の中からふとだった。
変な声を聞いた、遥はその声を聞いてまさかと思い。
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