第三章
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「僕がベイブがちょっと飲むだけで、だからね」
「そう、君達が飲むとね」
「それだけでちょっとした湖一杯分は飲むからね」
「だからだよ」
「ここはだよ」
「しっかりとした溜め池を用意しよう」
「君達の分を含めてね」
「それじゃあ」
ポールは早速溜め池を掘った、そこにすぐに水を入れたが。
「足りないな」
「じゃあもう一つ掘ればいいじゃないか」
「それなら」
「そうだね」
ポールは仲間たちの言葉にまた頷いてだった。
もう一つ掘った、そこにも水を入れたが。
「まだだな」
「まだ足りないな」
「二つになってもだ」
「それでもな」
「うん、じゃあね」
それならとだ、ポールは意を決してだった。
あと三つ掘った、そこに水を入れると結構なものだったが。
ベイブはその水を見てポールに言った。
「多分ね」
「これでもかい?」
「足りないと思うよ」
水がというのだ。
「入れるだけの池は造ったけれどね」
「五つ掘ったからね」
「うん、流石に池は充分だけれど」
「肝心の水の量がだね」
「まだだよ」
足りないというのだ。
「これじゃあね」
「じゃあ今度は」
それならとだ、ポールはベイブに応えた、そしてだった。
橇で桶を積んでそのうえで一旦大西洋に向かった、そこでだった。
水をたっぷりと運んで池に入れていった、すると五つの池は忽ちだった。
水で満たされた、だがここであった。
ポールは桶のそれも一番大きなものをひっくり返してしまった。それで水は洪水となって南に流れていった。
「おい、これはまずいぞ」
「南が大変なことになるぞ」
「早く手を打たないとな」
「南が大荒れになるぞ」
「そうだね、ここは」
ポールもそれを見てだった、素早くだった。
シャベルを以て水の前の先回りをしてそのうえで溝を掘った、水はその溝の中を通ってアメリカの南を荒らさなかった。
これで難儀は逃れてだった、溝の左右に多くの土が盛られた。
この時の五つの湖が五大湖となり溝はミシシッピー川となった。盛られた土たちはアパラチア山脈とロッキー山脈になった。
気付けばポールはアメリカの大地を築いていた、それで後世のアメリカ人達は自分達の国の地図を見て思うのだった。
「グレートソルクはポールの涙だ」
「グレートキャニオンは悪戯の後だ」
「五大湖はポールが造った」
「ミシシッピー川もそうだ」
「ロッキー山脈もアパラチア山脈もだ」
「アメリカはポール=バニヤンが造ったんだ」
「あいつは気付けばそうしていたんだ」
アメリカの大地を作っていたというのだ。
「全く以て凄い奴だ」
「気付いたらそんなことをしていたんだからな」
「そんな凄い奴を忘れてたまるか」
「これからも語っていくぞ」
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