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自然地理ドラゴン
三章 天への挑戦 - 嵐の都ダラム -
第33話 人型モンスター(2)
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しなければなりません。そういう意味でもお誘いには乗れません」

「悪影響だと?」

 青年は首をかしげた。

「アンデッドというのは利点しかない。新しい技術で作ったアンデッドは、能力は生前のままかそれ以上。当然、旧来のアンデッドと同じく、食べることも寝ることも不要。寿命もない。考えうる限りでは究極の生物――というのがダヴィドレイの考えだ。アンデッドが強くなったり増えたりして困るのは人間だけだ。世界そのものに悪影響を及ぼすことなどない」

「それは危険な考え方です。動物は他の生物を食べて生きるものですし、植物は土から生物の死骸や排泄の栄養を取り込んで生きるものです。
 この世界の生物は必ず他の生物に依存するようになっていて、それが大自然のルールなんです。いま『究極の生物』と言われましたが、何にも依存しないアンデッドはそもそも生物じゃありません」

「なんだその理論は。お前の考え方はよくわからんな」
「はーい。わたしよくもわからなーい」
「ティアはここで入ってこなくていいって」

 また前に出てきていた彼女を、今度は強めに後ろに下げた。
 そして背中で彼女をブロックし、話を続けた。

「アンデッドは生物じゃないのに生物のような活動をします。それは歪んでいます。そんな歪みが量産されたら、この世界はきっととんでもないことになる。ダヴィドレイがどんな人物なのか知りませんが、そんな危険な実験はすぐに中止をお願いしたいです」

「やっぱりわからん。ドラゴンの考え方とは思えないが。それは人間側の考え方なのか?」
「はーい。人間にもわかりませーん。シドウの頭はちょっと変なんでーす」
「ティアはどっちの味方なの……」
「だって、いつまで話してるの? って感じだし。こんなのほっといてさっさと実験場に行こうよ。急いだほうがいいんでしょ」
「こっちも大事な話だと思うけど」
「大事なら後でゆっくり議論したら? この人にはここで待っていてもらうとか」
「いや、そうもいかないって。決裂したら討伐とか言っているわけだし。あとさっきから前に出ないでって言ってるのに。危ないから下がってて」

 ふたたび後方に彼女をおしやるシドウ。その二人の様を見て、エリファスは首をひねる。

「……だいぶ思っていた感じと違うな。とても半分ドラゴンだとは思えん」
「もっと荒々しいのを想像してたの? 期待はずれで残念でしたー」

 またティアが言葉を返しているが、今度はシドウの言葉に逆らって前に出てはこなかった。

 青年が、背中の大剣の柄に手をかけたからである。

「とりあえず、勧誘は拒否ということでいいな?」
「あっ、ちょっと待ってください」
「なんだ? 結論は出ただろう」
「出ていますけど。ここでお互いが戦う必要はないと思います」
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